時間がないなあと思った時に考えること
「社員にはもう何年も同じ事を繰り返し言っているんですが、変わらないんですよ。仕方ないんです、ウチのような会社は。」
営業部隊が思うように仕事を取ってこない、せっかく取った仕事もその後のコミュニケーションがうまく行かずトラブルになる、納品後のクレームの数も一向に減らない。
社長も部長もその対応に追われいっぱいいっぱいな毎日で、新しい試みや未来へ向けた構想を話し合う時間すら捻出できない、そんな状態がもう20年も続いていますとおっしゃる経営者に先日お会いしました。
私がお会いする経営者の多くは似たような悩みを口になさいます。人がいない、思うように動いてくれない、何度言ってもわからない、と。確かにおっしゃることはよくわかります。新しく社員が入ってきても大企業並みの社員教育などする余裕がなく、だいたい一通りのことを教えたら即現場に出て、その後は定期的なフォローや次のステップへの教育もできないまま年数ばかりを重ねていく。社員側にとっても仕事のやり方や立場が大きく変わらないまま年数を重ね、見た目だけ大先輩になっている、ということもよくあります。
一方、顧客の管理も同じです。初めて取引をしたお客様に対してのサービスも、5年・10年とお付き合いのあるお客様へのそれも、また年間の取引金額や内容に関わらず一辺倒になっているサービスなど、それぞれの段階やステージごとの明確な区別もできないまま売上だけを追いかけ仕事だけを増やし続けて行けば、社員だけでなく部長も社長も総動員で対応しなければ手が回らないほどの仕事量になり、そのキャパを超え出すとボロボロとミスやクレームが発生してしまい更に後ろ向きな仕事が増えてしまう、という負のスパイラルに巻き込まれてしまいます。
豊富な人材、優秀な人材がいなければ会社は変われないのか?
社内に明確な決まりごとや画期的な仕組みがなければうまく回らないのか?
良いお客様とお取引できなければ会社は成長できないのか?
経営者が会社を大きく成長させようと考えるとき、よくこのようなご相談をいただきます。確かにおっしゃる通りです。優秀な人材が豊富にいて、画期的な仕組みがあり、優良な顧客がいてくれれば確実に会社は大きく成長できます。
しかしそこには、多くの経営者が見落としている一番大切なことが欠けています。
それは、まずは経営者自身が変わることです。「今日から変わるんだ!」と決めることです。
日々、その身を削って会社の発展に努めていらっしゃる経営者に向かって何を言うかと言われそうですが、これが一番大変なことなのでいつもしつこく申し上げています。
「まずは社長ご自身が、変わります!と宣言してください」と。
社員の段階的な教育や、仕事の段取りやクレーム対応の方法、新規顧客から固定客へのフォローの仕方など、社員が迷わず動ける導線をハッキリさせてあげることこそが、まず社長が考えるべき重要な仕事なのです。
良い人材も、優良な顧客も、画期的な仕組みも、じっと待っていても向こうからやってきてくれることはありません。こちらから一歩ずつ一歩ずつ歩み寄り、根気よく取り組んで行かなければ一足飛びに画期的な組織や仕組みなど成し遂げることなどできるはずがないのです。
そのためにまずやるべきは、「今日から変わる!」と決めること、そしてそれを社員全員に宣言すること。その上で、確実に登っていくための階段を明確にし、背中を押しあう仲間をつくることが重要です。今日できないことは明日になってもできません。「今日から変わる」ぜひ実践していただきたいと思います。
経営者の皆さま。時間がないのは仕方のないことだと思っていませんか?変わるべきは社員だと思っていませんか?社員は、あなたが変わることに期待していますよ。
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