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なぜ部下は動かないのか?トップ営業がリーダーへ変わるための鍵

SPECIAL

組織の成長加速コンサルタント

株式会社グロースサポート

代表取締役 

組織の成長加速を促し、業績躍進を実現させる辣腕コンサルタント。これまで130社以上の企業において、経営者のコンサルティング、経営幹部、経営リーダーの育成に携わる。組織とリーダーの成長段階を知り尽くし、経営者と同じ目線で語ることのできる希有なコンサルタントとして活躍中。

これまでご支援してきた事例を振り返ると、どの企業でも「トップ営業」の方がいきなりチームを率いる「リーダー」に転身するケースは珍しいものでした。K社長が「うちは営業会社です」と断言されたその言葉が象徴するように、N社には他社にはない、独特の営業会社らしい空気感がありました。


K社長自身も、業界で伝説的なトップ営業の1人として知られ、その姿勢や実績は多くの経営者から称賛されていました。そんなK社長が「業界でも珍しい存在」として激賞する営業部長がいました。それがY部長です。彼は業界全体でもトップクラスの契約実績を誇り、K社長に「Yのような人材は、稀少中の稀少です」と言わしめる人物でした。

しかし、そんなY部長にも深刻な悩みがありました。それは、営業部全体の半分以上の売上をY部長自身が稼ぎ出している一方で、他の社員の営業力が期待するほど伸びていないという現状でした。このままでは会社の未来に暗い影を落としかねない、そうした危機感がY部長を悩ませていたのです。


成果を出すリーダーの“落とし穴”

Y部長を含む、多くの成果を出してきた営業のトッププレイヤーには、ある共通点があります。それは、「自分なりの成功法則を持っている」ということです。そして、その法則に基づいて、自分の部下や後輩にも同じ方法を当てはめようとするのです。

このようなリーダーに私がお会いした際、よく投げかける質問があります。それは、「お母さんの嫌いな食べ物って知っていますか?」という一見変わった質問です。多くの人は答えられません。それもそのはず。ほとんどのお母さんは、自分の嫌いな食べ物を家族の食卓に出すことがないからです。つまり、嫌いなものを目の当たりにする機会がないのです。

このエピソードが示しているのは、人間は無意識に自分の価値観を中心に行動するということです。同じように、リーダーは自分が成功した方法を基に部下を指導しがちですが、その結果、リーダーと似た価値観を持つ部下は成功する一方で、それ以外の部下は伸び悩む、という現象が起こります。

さらに、自分が一生懸命伝えた内容が部下に浸透せず、継続されないことを知ると、「なぜやらないのか」「なぜ続けられないのか」と苛立ちを感じるようになります。このジレンマこそ、トップ営業がリーダーへ転身する際に直面する大きな壁の1つです。


トップ営業が「リーダー」へ進化する方法

しかし、トップ営業の方々の場合、こうした課題を乗り越えるためのヒントをすでに持っています。それは、「お客様に合わせる柔軟性」です。トップ営業は、多種多様なお客様に合わせてアプローチを変え、結果を出してきたからこそ、その地位を確立しています。これを部下への指導にも応用することで、リーダーとしてのスキルを大きく進化させることが可能です。

例えば、成果を出すための2つのポイントを整理し、トップ営業の方々に「顧客対応」と比較して説明すると、たちまち理解が進みます。営業の現場で自然にできていることを、部下に対しても意識的に実践する。この変化を取り入れるだけで、長年悩んでいた部下との衝突も驚くほど改善されることが多いのです。

Y部長もこの方法を試し、最初はプライドが邪魔をして戸惑いを見せましたが、次第にやり方を変えることで成果を出し始めました。その表情は晴れやかになり、軽やかに部下への指導を進めていきました。


次に直面した“山を動かす”課題

しかし、一件落着と思いきや、Y部長にはもう1つ乗り越えるべき大きな壁がありました。それが、「やる気がないわけではなさそうだが、行動改善が進まない社員たちの後押し」です。このタイプの社員が多い場合、組織全体が足踏み状態になりやすくなります。ここを動かすことができれば、組織全体の変革が起きるのです。

Y部長と営業プロセスを確認していくと、ある興味深い事実が浮かび上がりました。多くの社員が、お客様との契約率を左右する重要なステップでつまずいていたのです。Y部長もさまざまな方法を試みました。リアルタイムで商談をサポートするインカムマイク、ロールプレイング、資料の活用法のシミュレーション…。それでも改善はなかなか進まず、Y部長は「努力とは関係なく、気づけない社員がいる」と嘆いていました。


「認知の壁」を乗り越える

ここで必要だったのは、社員たちが「認知の外側」にある情報に気づけるようにする仕組みでした。言葉だけでは伝わらなかったことも、特定の場面で具体的なアクションを定めることで、解決の糸口が見えました。

その結果、これまで成果が改善しなかった社員たちの躍進が始まりました。営業技術の伝授は、Y部長のようなトップ営業の力を活かしつつ、マネジメント技術を活用すれば、多くの社員に展開することが可能です。


トップ営業のリーダーへの進化のプロセスはシンプルでありながら、多くの企業で見落とされがちです。Y部長のように、個人の成功から組織全体の成功へと視点を変えたとき、組織の未来は大きく変わります。 あなたの組織でも、この視点を取り入れることで、次のステージへ進むヒントが見つかるかもしれません。

 

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