大と小が組むために必要なこと
今週も、先週に続いてオープンイノベーションの話題です。世間に名の通った超大企業がスタートアップやベンチャービジネスの技術シーズに注目したアライアンスを志向する、またスタートアップやベンチャーの側も超大企業と対等に渡り合う、と言った事例を最近よく目にするようになりました。
先週お伝えした「自前主義」が当たり前だった昭和の頃にはなかなか考えられなかったパターンです。今から10年くらい前でもまだ難しい状況は残っていたように思うのですが、このところ急速にオープンイノベーションを加速する環境変化が起こったように感じられます。
私見ですが大きな転換点となったのは、国連が定めた「持続可能な開発目標:SDGs」に代表されるように「社会善への貢献価値」が可視化されたことではないかと思っています。そのような指標がなかった昭和の頃は、たとえば一部上場企業が中小企業に比べてなんとなく偉い、たとえば大企業の役職で同窓会の挨拶役が決まる、みたいなよくわからない社会的ポジションがありました。
最近の事例だと、オープンイノベーションでベンチャーと組む側の、大手の担当者には若手社員も多いのですが、以前であれば上司には決して逆らえない立場であったはずの彼らが、社会善への貢献価値が高まることを理由に社内を説得するという場面がごく当たり前に見られるようになりました。大きかろうが偉かろうが関係ない、まずはしっかり儲ければ社会善への貢献を前に進める方が強いのだ、という明快なロジックを彼らは持っています。
今一つの変化は転職市場の整備なのかもしれません。自分たちのロジックが通じないような古い体質の会社には魅力がない、だったらさっさと良い会社を探して転職したほうが良いと、彼らは真面目に思っているわけです。昭和の昔に比べれば、上司受難の時代と言えるのかもしれません。
そのような変化を捉えて考えるとき、もっとも危機にあるのは実は中小企業の経営者なのかもしれないという側面があります。特に地方の老舗企業は、ある意味で古い体質を変えずにやってきた歴史があるので、経営者のアタマがたとえばSDGsなどについて行けていないという事例もまだまだたくさんあるからです。そういった企業が中央の先進的な大企業と組む、というパターンも今後は様々な場面で出て来るものと思われます。経営者のマインドセットが思わぬ支障にならないよう、ぜひ予め目配りしておかれることをお勧めします。
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