利益率が上がっていかない既存店などあり得るのか?
「頑張っても意味が無いですよ」
「お店は立地が9割ですから」
ある社員が退職する際に放った言葉です。
この発言にはいろいろ問題が含まれていますが、
注目すべきは、店舗オペレーションに集中しなければならない社員に、そう捉えられているということ。
残念ながら、会社のマネジメント面に原因があると言わざるを得ません。
働く人が多くなる多店舗型ビジネスにおいて、経営者が気を付けなければならないのは
マネジメント面に綻(ほころ)び無いか?です。
綻びは、社員やスタッフが
「社長、これはおかしいと思います」
など、見つけて教えてくれて
「確かにそうだな」
「変えよう」
と改善できるものではありません。
有効な手は2つです。
・常に経営者が自ら目を光らせ、都度改善する
そしてもう一つの方が弊社のお薦めで、
・常に経営者自身が目を光らせ、都度改善する必要さえ無くなるように、事前に「仕組み化」しておく
です。
企業としてこういった手がうたれていないと、社員やスタッフ達は努力を重ねてくれるどころか
「これっておかしくね?」
「確かに」
「俺も前々からそう思ってた」
「だよな~」
などと、本来は高い数値結果を出す為に結束してもらいたいところなのに、その逆の悪い方向に結束されてしまうことがあります。
この「従業員達が結束し、会社のせいにし始める」という症状。
これは、会社がどんな状態であろうとお構いなしで発症します。
たとえ経営状態が青息吐息であったとしても容赦してきません。
またその逆で、連続で新店舗を出店できている急成長状態であったとしても。
冒頭のケースは、後者の一例ということです。
今回のコラムでは、その「連続で新店舗を出店できている、成長の波に乗っている企業」のマネジメントに注目します。
一見、他社からは「どうしたらあんなに出店できるんだ」と羨まれる状態ですが、
そんな絶好調の社長が注意しておかなければならないポイントがあります。
そのポイントを軽視していると、途端に経営難に陥ってしまう事さえあるからです。
ポイントとは何か?
それは「既存店の利益率が上がっていってるか?」です。
ここで
「そんなの当たり前だろ」
「わかってるよ、そんな事は」
などの声をいただくことでしょう。
しかし、改めて問います。
「御社の既存店の利益率は実際に上がっていってますか?」
もしかしたら
「わかっているけど、上がっていってはない」
となっていませんか?
そんなの状態の企業について、私ははっきり言います。
それは 異常 です。
売り上げはともかく、利益率が上がっていってないということは
会社のマネジメントに綻びがあるということです。
そもそも社長は、本部はもちろん店舗で働く社員やスタッフに対して、「既存店の利益率について」どういった姿勢で向き合ってもらいたいとお考えですか?
それは
「特に、上げてもらいたいとは思っていない」
「ただ、お店をまわしてくれればそれでいい」
でしょうか?
それとも
「店舗ごとにどのくらいの利益が得られるか?はすでにわかっている」
「その一定のラインをキープしてくれ」
でしょうか?
社長が従業員達にそう望んでいるのなら、何も問題はありません。
社員やスタッフ達はこうなることでしょう。
「そうか、じゃあ別に利益率は気にしなくてもいいよね」
「とにかく店をうまく回していれば、それでいいんだな」
「お店は立地が9割なんだから」
しかし、それとは逆に社長のお考えが
「店舗ごとにどのくらいの利益が得られるか?はわかっている」
「しかし、それ以上の結果を出していくのが君達の仕事なんだ!」
だったら、どうでしょうか?
または
「君達は私(社長)の分身だ」
「現状で満足するな」
もしくは
「君達には驚くほどの結果を出し続けてくれることを期待している!」
だったら・・・?
そんな社長は、きっとこう感じているのではないでしょうか?
「いつまでも既存店の利益率が上がっていかない状態など、容認できない」
私が言いたい事、それは
多店舗型ビジネスにおいて
働く誰もが利益を求める経営者の分身であるならば
いつまでも利益率が上がっていかない店舗や組織が存在するわけが無い!
仮に、社長の貴方が、ある店舗の店長だったとしたら、
以下の状況に相対した時、どう受け止めますか?
・利益がダラダラと垂れ流しの状態を発見した際、
➡それを問題視せず、スルーしたままにできますか?
・「これは少し工夫するだけで、数年後には大きな利益となっているのでは?」という発見があった時、
➡「まぁいいや、私は日々お店をただ回すことが優先なんだから」と後回しにできますか?
・お店に「まだ使える予算が残っているじゃないか」となった時、
➡ほとんどリターンが期待できない事にでも「どうせ会社の金なんだから」と、軽々しくそのお金を使えますか?
困ったことに、順調に店舗を増やしていけている多店舗型ビジネス企業において
ほとんどの従業員が「新店出店だ! 立地が重要なんだ!」といった方向にばかり目がいってて
「既存店の収益率を上げる」
がおろそかになっているケースが後を絶ちません。
実際に冒頭の企業の社長も、そうなって欲しくないからと
「いいか、既存店の業績が一番重要なんだ!」
と口酸っぱく言い続けていました。
しかし、実現できていなかったのです。
その原因は、上記の有効な2つの手をうっていなかったからです。
逆に、多店舗型ビジネスにおいて、
「働く誰もが私(社長)の分身なんだ」
「どうやったら既存店の利益率を上げていけるのか?」
「常に疑問の目を持って、改善していきなさい」
としている企業は、他社を差し置いて大きく飛躍していってます。
そんな企業のマネジメント面には社長が作り上げた仕組みが機能しています。
社長がいちいち目を配ったり、手を掛ける必要もなくなります。
それでも社員やスタッフ達は、まるで社長の分身として動いてくれます。
その「動き」の例を挙げますと
・利益がダラダラと垂れ流しの状態は
➡常にに目を光らせていて、発見次第、即改善。
・「これは少し工夫するだけで数年後には大きな利益となっているのでは?」という発見があった時は
➡対応が早ければ早いほど利益になるという意識がある為、最優先で工夫を施す。
・お店に「まだ使える予算が残っているじゃないか」となった時は
➡お金をかけるほどのリターンが期待できるのか? 穴が開くほど分析し、勝算がある時だけ実行する。
ここでお気づきの方もいらっしゃるでしょう。
これらのアクションはどれも人を驚かせられるような特別なアクションではありません。
傍から見れば
「なんだそんなこと」
「仕事なんだから当たり前の行動じゃないか」
というアクションばかりです。
しかし、多店舗型ビジネスにおいては、これらのごく普通のアクションを、誰もが実現できているかどうか?
それが重要なのです。
成長著しい御社はいかがでしょうか?
新店の増加とともに、既存店の利益率も順調に上がっていってますか?
それとも
「なぜ既存店の利益率が上がっていかないんだ?」
疑問を持っているのは社長ばかり・・・となってしまっていませんか?
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