ロイヤル顧客づくりを成功に導く原理・原則
イノベーター理論の研究実績
以前、某消費財メーカーの商品ブランド単位にロイヤル顧客の存在確率を分析していた時期がありました。
ロイヤル顧客とは購買実績が多い顧客ではありません。
何度もお話しているとおり、消費者は購買行動を起こす前に購買心理が働きます
下の図をご覧ください。
購買実績「多」の行に属する消費者全員がロイヤル顧客であるとは限らず、ロイヤル顧客は「流行先取派」と「保守派」に多いといえます。
この研究実績をもとに、私のロイヤル顧客戦略は展開しました。
イノベーター理論とは
ここでイノベーター理論について簡単に解説しておきます。
イノベーター理論とは1962年に米・スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授が提唱した商品普及と顧客分類に関する理論で、顧客を新商品購入の早い順に5分類しています。
5分類を私なりに解釈した名称を付記して解説しておきます。
イノベーター=革新派
商品特性を数値など商品の本質で判断。商品特性検証のため様々な商品を試し買いする顧客層。
オピニオンリーダー=流行先取派
商品特性を顧客メリットで判断。これは良い!と思った商品は継続購入し、かつそのメリットを周辺顧客に発信してくれる顧客層。
アーリーマジョリティ=慎重派
流行先取派の評価に反応して、商品を購入する顧客層。基本的に企業が発信する商品情報には反応したがらない。
レイトマジョリティ=懐疑派
企業が発信する商品情報を疑って受けとめる顧客層。自分のまわりにその商品を購入する顧客が増えてくると購入しようという気になる。
ラガード=保守派
新商品が発売されても、自分のまわりに新商品を購入する顧客が増えても、自分が従来消費していた商品を継続購入したがる顧客層。
アプローチすべき顧客層とは
ソーシャルメディアの時代に入り、ますますクチコミに期待する企業が増えています。しかし、ロイヤル顧客とはクチコミを発信する流行先取派だけではありません。
実は、保守派との関係を継続・維持することも重要です。
性格的にクチコミを発信したがらない消費者でも、何気ないソーシャルメディアへの投稿の中に、自分が愛用している商品も載せてしまうケースが増えてきました。
その投稿を閲覧した友人・知人がコメントで質問すると、きちんとその商品の良さを教えてくれます。こういう顧客も大切にすることによって、信頼性の高い情報が拡散されていきます。
ちなみに、保守派と懐疑派はまわり人たちに流される存在なので、ロイヤル顧客としての定着は困難です。
また、革新派は評論家的な視点があるため、商品・サービスに圧倒的な技術力等が無いとロイヤル顧客にはなりにくいという懸念があります。
研究結果から、もう1点補足しておくと、
消費者はすべての商品カテゴリーに対して、革新派であったり、流行先取派になったり、慎重派・懐疑派を通すということはありません。
消費者はそれぞれに自分が興味・関心の高い商品カテゴリーに対して、流行先取派や保守派になり、興味関心の無いカテゴリーでは慎重派・懐疑派にとどまっています。
ロイヤル顧客と経営者の関係
会員制・ロイヤル顧客づくりによって、購買実績が多いのは誰か?確認できるようになりました。その上、簡単なアンケートを追加することにより、その顧客がどの分類に該当するのかも確認できるようになりました。
要するに、会員制・ロイヤル顧客づくりによって、貴社商品の購買実績が多い顧客の中から、流行先取派と保守派を抽出することが可能になったのです。
ぜひ、貴社の流行先取派ロイヤル顧客と保守派ロイヤル顧客の人数を見える化してください。
営業は今期の業績達成のため、目の前の顧客に注力しています。
したがって、営業にこれらの顧客のフォローを任せてはいけません。
中長期の成長のためにこれらの顧客と信頼関係を築くのが経営者の務めです。
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