正しく選択するに固執する
商品を販売する際の戦略として「松竹梅と3種類用意せよ」とよく言われます。この時、自分の一番売りたい商品を真ん中に置くとよく売れるという説明が加えられたりします。
もちろん、このセオリー通りの結果が出る場合もあります。一方で、予想とは違った結果が出てしまうことも実際にはあるのではないでしょうか。
販売に関しては商品がちゃんと売れる方法というのが正しい選択になります。しかし、残念ながら現実の世界においては、会社が「これが正しい選択だ!」と考えても、商品がまったく売れなければ間違った選択をしたという評価が下されます。そして、ビジネスでは結果がすべてという観点からは、間違った選択をした社員はダメ社員という烙印が押されてしまうのです。
でも、10年、20年と長くビジネスを続けていく過程においては常に正しい選択をし続けるのは不可能です。また、正しい選択をすることばかりにこだわってしまうと、失敗を恐れるあまり、「過去に似たような事例があるか?」「専門書にはどう書いているのか?」「他社はやっているのか?」ということばかり気にして、第三者から見ると「どこかで見たことあるような・・・」という平凡で特徴のない選択をすることにもなりかねません。
商品が売れるか売れないかは市場のみが答えを知っています。つまり、最終的な選択権は会社ではなく商品の購入者が握っており、会社ができることにも自ずと限界があります。このため、経営者が気を使うべきは選択に至るまでの過程です。
最後は自分の勘に頼るにせよ、「商品の価格は本当に10,000円でいいのか、やっぱり15,000円で売るべきではないのか?」「商品の色は黒と白だけでよいのか、赤はいらないのか?」「この機能は本当に必要なものなのか?」といったことを毎回どこまで詰めきったのかが大事です。
正しく選択することを続けていれば、必ずいつかは正しい選択に辿りつきます。要はその選択に至るまでの過程で手を抜かなかったかどうか。
そして、中小企業の場合、正しい選択に辿りつくまでの時間をできるだけ短縮しないと、いつかはお金が足りなくなります。このため、中小企業こそ選択に至るまでの過程をより確かで再現性のあるものにする必要があります。
「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」というのは野村克也さんの名言ですが、正しくない選択をした時こそ、結果だけに固執していつまでもくよくよするのではなく、選択をするまでの過程をすぐに振り返ってみることがポイントです。少なくとも、価格、数量、時間の観点から徹底的に詰めるべき点は詰めましょう。
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