相手の気持ちになって考える
コンサルタントをしていると、たまにプロジェクトの企画ものに関するブレーンストーミングに参加する機会があります。様々な立場の様々な参加者が、発想を述べ合う機会は刺激的なものになることが多いと感じます。テーマにもよりますが、企業経営者が参加されることも少なくありません。
ブレーンストーミングですから、参加者相互の発言に批判的なコメントさえしなければ、後は何を言っても構わないわけですが、セッションの生産性を考えるなら、実は批判さえしなければ良いというルールだけでは足りず、いわゆる成果に向けて参加者のコメントを丹念に拾って行く努力が不可欠になります。
経験値に基づいた話になりますが、ファシリテータとして発言者のコメントを拾うときに、相手の気持ちになって考えることのできるタイプの人とそうでない人はかなり明確に分かれるようです。マイペースで参加者のコメントを拾っても、ある程度のところまでは話がつながるものの、そこから先でどうしても話に加速度がつかない、あるいは参加者の口が重くなると感じることがあるのですが、そのような時は往々にして他の参加者のコメントを丹念に拾えていない場合が多いのです。
人はだれしも、「本当に言いたいこと」を前面に立ててコメントするわけではありません。相手に察してもらえるような物言いや、結論に添えて最後に述べるような部分に実は言いたいことが込められる、と言う場合もかなり頻繁に目撃します。そこまで感性が働く人とそうでない人では、同じブレーンストーミングからでも得られるものがだいぶ違ってくるようです。
イスラエルの古いことわざだそうですが、「水を飲んで、牛はそれを乳となし、水を飲んで、蛇はそれを毒となす」というフレーズがありまして、同じメンバーによるブレーンストーミングでも、ファシリテータの腕次第で得られるものが変わってくる、という事実にも通じるところがあると思っています。
皆さんはもうお気づきかもしれませんが、経営者が顧客と相対するときも同じことが言えるのです。顧客ニーズの核が何なのか、6割掴む経営者と8割掴める経営者とでは、長い期間にわたって大きな差が出て来るのです。
会議なら発言者の気持ちになって考える、営業なら顧客の気持ちになって考える。同じ客が同じ情報をくれたとして、それを乳となせるか、あるいは毒にしてしまうかは、経営者それぞれの才覚と努力、そして意思にかかっていると言えるのです。
顧客の立場に立ってモノを考えようとする経営者を、当社はいつでも全力でサポートしています。
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