同族会社の事業承継で大切なこと
冬の寒い時期や、夏の暑い時期は、ご高齢の先代社長世代の方々にとっては、体力的にツライ時期ということもあり、例年「相続」が発生します。
イザ相続が発生してから対策できることはほとんどなく、事前にどれだけ家族全員が気持ちを一つにして「事業承継」の問題に向き合うかで、最終的な結果が変わってきます。
同族企業の事業承継に関しては、単純に「社長が交代する」という話ではなく、株式の承継、事業用資産の承継、古参社員や親族従業員の扱いと、実にデリケートで一筋縄ではいかない問題が潜んでいます。
同族会社には、同族会社ならではの特性があります。だからこそ、出来る限り問題の芽が小さい段階で、問題と向き合い、課題解決のための一手を打つことが重要です。この点を安易に考えて、見切り発車で物事を進めてしまうと、手痛いしっぺ返しが待ち受けています。
よくある失敗例は、税金のことだけを考えて進めてしまうケースです。
事業承継の場面では、どうしても税金の問題があります。ここで、気を付けるべきことは、税金だけが問題ではないという視点を社長自身が持つことです。
事業承継の場面こそ、社長が顧問税理士を上手に活用できているか、顧問税理士のいいなりになっているかで、明暗が分かれます。
厳しい表現になってしまいますが、社長自身が無策なまま顧問税理士に依存していると、後々取り返しのつかないことが起きます。
実際に、当社にも、「顧問税理士の話を鵜呑みにしてたら、経営が苦しくなった…」という社長さんが数多く訪れます。
全ての税理士がダメというわけではありません。大切なことは、そもそも社長が税理士の専門領域を正しく理解しているかです。
社長が知っておかなければならないのは、「税理士はあくまでも税金の専門家」ということです。多くの税理士は、税金の立場からアドバイスをしています。
ですが、事業承継の局面においては、税金の問題は表面的に見える問題の一部であり、全てではありません。
親族間での争いを未然に防ぎ、財務的により良い状態で承継するかなど、他に解決しなければならない問題があることに社長が気づいているかどうかです。
多くの税理士は、「財務」を知りません。財務を知らないまま「税金」だけ考えたアドバイスを鵜吞みにしたら、どうなってしまうか…ということです。
もちろん誰に相談するかは、社長が自由に決める話です。ですが、相談相手を間違えている…、これではどうしようもありません。
税理士は、「過去」のお金の流れをみて税金の計算をする「税金の専門家」です。
したがって、会社の「未来」のお金のことを相談しても、正しい答えは返ってこないのです。事業承継の話は、過去だけでなく「未来」を見据えての意思決定です。
それに対して、財務は、「財産管理の実務」です。つまり、「未来」に向かって、社長と会社にお金が残る仕組みづくりをすることです。そして、当社は、「未来」に向かって、社長と会社にお金が残る仕組みづくりをする「財務の専門家」です。
税金は支払うものであるのに対し、財産は、残して増やすものです。したがって、視点も異なれば、着眼点も180度変わってきます。未来に向かっての打ち手や、課題解決のためのアプローチも全く異なります。
会社を守り、社員や家族の生活を守れるのは、ただ一人、「社長だけ」です。
会社と社員・家族を守り抜くためには、社長自らが未来に向かって、考えていかなければならないのです。そのために「財務」が必要なのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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