人がもたらす変化
組織でも社会でも、人が変わるとガラリと様子が変わるということを、私たちはよく目撃します。典型的な例は、チームスポーツでしょう。優れた選手の加入や監督が代わることでそれまで弱かったチームが強くなる、もしくはその逆も起きるということを、私たちは何度も目にしてきました。これに抗おうというわけではないと思いますが、人気スポーツの世界には、常勝軍団であるために伝統に活路を見出そうとした古豪が、それでは上手く行かずに却って伝統に飲み込まれてしまうような事例もたまに見られますね。つまるところは「人」に尽きるということを、この事例は如実に教えてくれています。
企業もまたその例に漏れないことは、このコラムをお読みの方々であれば百も承知だと思うのですが、では社会や国はどうなのか、と考えると少し違った景色が見えてきます。人が入れ替わると、同じ社会でも雰囲気が変わったり、活力が減ったり増えたりする例を私はもう何度も見てきたように思います。
たとえば80年代のASEANでは、パワフルな日系企業の駐在員が「何でこんなこともできないんだ?」といった調子で現地ワーカーへの不満をぶつけたりする姿をよく目にしました。それが今では世代も変わり、ASEAN各国のワーカーはすっかりレベルが上がってしまいました。提案や工夫、創造力を生かした仕事がごく当たり前のようになされています。
同じようなことがアフリカでも起きようとしています。90年代、欧米からの圧力により構造調整といわれた行革の嵐が吹いていたころのアフリカはどこか自信なさげで、援助の効果もすぐに見えなくなってしまう(人がいなくなる)という、かなり悲劇的な状態だったことを思い出します。
それが今は違うのです。人々の顔は明るく、成長を実感している自信が表れています。依然として紛争地域はありますが、それとて拡大する方向にはありません。人々の若さと自信がアフリカのイメージをこれまでとはだいぶ違うものにしてくれつつある、そんな感覚を覚えています。
さて、日本です。円安は、ものづくり産業にとって追い風だとされていますが、それを喜ぶ声はあまり大きくありません。むしろ亢進するインフレを加速させるものだとして、メディアの論調は警戒一色です。これはものづくりで頑張るチャンス!商機はアジアからアフリカへ!みたいな考え方のボルテージは、メディアを見る限りでは上がっているようには見えません。
でも、個別企業の反応には力強いものがあります。私がかかわる環境産業でも、若い会社の中にはアフリカを視野に入れようとする動きが顕在化しています。世界が環境を向いている時代だけに、ここには大きなチャンスがあります。この分野におけるJAPANブランドは、依然として健在です。
コロナ禍で長いこと海外への取り組みができない日々が続きました。そんな状況でもアフリカと聞いて反応するアンテナを持っている人だけに、チャンスの女神は微笑むのです。常日頃からアンテナの手入れを怠らない経営者を、当社はいつも全力で支援しています。
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