カナヅチを持つとすべてクギに見える
先日病院に行った際、医師から問診もろくにされず、普段の生活状況も聞かれず、数値だけで決めつける診断をされました。確かにその数値だけ見ればその通りなのかもしれません。しかし、その説明は素人でもわかる一般論で、二言目には薬を出すから飲んで様子を見てみましょう、で終わりです。全く納得のいかない診断と数値改善の方向性に、その日はかなりモヤモヤとして帰りました。
現状把握もろくにせず、そうなった理由を探ろうともしない姿勢は医師としてどうなのかな…と思うと同時に、私自身も気を付けなければならないと強く思いました。士業やコンサルタントは企業のドクターとも言える存在です。「あの時のあれと一緒だな」と現状を深堀りしないままで反射的にアドバイスしてしまうと、場合によっては業績を悪化させる一因にもなりかねません。
ただ、現実を見ると冒頭の医師と同様、話も聞かずに「反射的アドバイス」をする士業、コンサルタントは後を絶ちません。もちろん、的を射たアドバイスも多いのですが、それと同等以上に的から外れた、しかも「自分ができること」に寄せたアドバイスが多いのも事実です。
的から外れた上に、「自分ができること」を押し付けるようことなんてあるのか?と思われる方も多いのではないでしょうか。これは残念ながら事実であり、私も話に聞いたり、実際にその場に居合わせたりしています。同席した時は遠回しにそのアドバイスを牽制したりしますが、言っている本人は自分の意見に酔っているのか、焼け石に水なことも少なくありません。
たまらないのは相談した経営者です。役に立たない上に、自分ができることに寄せたアドバイスですから、ムダのオンパレードです。経営者にコンサルタント嫌いが多く見受けられるのも、これが一因であるのは間違いないでしょう。
翻って、士業やコンサルタントに関わらず、人は自分が持つノウハウや経験が万能だと思い込むと、何時でも何処でも同じようなアドバイスをしてしまいがちです。まさに「カナヅチを持つとすべてクギに見える」状態で、自分が専門的知識を持っている場合、すべての人が陥る可能性のある罠だと言えます。
私自身、自戒の念を込めつつ、これからもクライアントの徹底的な現状把握に努めていきます。ちなみに、現状をお聞きするだけで、勝手に問題が解決に向かうことも少なくありません。それくらい現状把握にはパワーがあります。現状把握なくして問題解決なし。この言葉を常に念頭に置き、経営者の方々のお困りごとに正面から向き合い、解決へ導いていきます。
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