商品リニューアルで市場を席巻する「仕組み」のつくり方
時代の岐路、目標に向かって邁進している会社があります。一方、グラグラしている会社があります。「仕組み」のある会社こそが、時代の大変化を楽しむ挑戦者であり、冒険者であり、そして勝者です。
ちょうど今から100年前、全世界で4千万人が死亡したと言われるスペイン風邪の流行は人類の歴史上最悪だと言われています。そして今、21世紀の疫病を経てワクチンの接種が始まりました。新しい100年が始まろうとしています。
あらゆる国で移動制限、行動制限がありました。人々のライフスタイルが変わり、価値観が変わりました。とはいえ、細胞レベル、個人の思考レベルでみれば、そう単純な話ではありません。わたしたちは変わり続けながらも、一方では変わらない「軸」や「習慣」を持って生きています。人間としての「芯」がグラグラしていては、生き抜くことはできません。
ビジネスの世界も同じです。売上利益が悪ければ、少しでも上げるために策を練ります。2020年の前も、今現在も商品に関するご相談内容の多くが「既存商品が売れないのでなんとかしたい」「新商品を作って打ち出したい」「会社の屋台骨商品をつくりたい」ということがメインテーマです。コロナ禍においては「進もうとしている方向性はどうか」というご相談が加わりました。
2020年以前の頃でも、コロナ禍の今でも、売れる商品サービスには不思議な流れが生じていたり、微妙なバランスでコトが運んだりします。そして、一社一社に個性があり、それぞれに異なる道筋で人気が出たりします。一社一社、人気の出方は多様です。
一方、売れない商品サービスには似たような共通性があります。「設計」「仕組み」という考え方がないことです。商品づくりを「仕組み」として考えることができていないのです。それは無理もないことです。今まで体系として考え方とやり方を伝授する人がいなかったからです。
これからの時代の商品戦略は、「自社中心主義」がキーワードです。自社が自社らしく、楽しみながら、発想を豊かにしながら、新しい市場をつくっていく。個性豊かで、前の時代には誰も気が付かなかった価値、視点、世界観をお客様に知っていただく。愛していただく、という方向性です。
前の時代のように作っては壊して、ゼロから構築するのではなく、「今ある」魅力をベースにより研磨し、鍛錬していくやり方です。自社中心主義の根底にあるのは、「自社が何のために存在しているのか」を考え抜く、本質的姿勢です。お客様の気持ち、お客様の暮らしや人生へのイマジネーションが必要不可欠です。
自転車ひとつとっても、仕組みがあるから「乗り物」になっています。仕組みがあるから、不具合を検証し、直してまた乗ることができます。仕組みがあるから、商品として進化することができます。部分があって全体がある。全体があって部分があります。2020年を起点にし、前の時代であっても、これからの未来に進んでも、この構造は変わることはありません。
例えば、仕組みがあるからこそ、エンターテイメントの分野は世界中をマーケットに豊かに発展してきました。テレビでも舞台でも必ず「台本」があります。台本とは作り手によって書かれた「本」です。すべてはここから始まります。テクノロジーが発展しようがしまいが、台本から始まります。2500年前のギリシャ悲劇も、450年前のシェイクスピアも、鬼滅の刃も同じです。
台本には「天地人」という設定があります。時代設定、現在の設定、人物設定を意味しています。別の言葉で言えば、4つの「W」、WHO、WHERE、WHEN、WHATが設計されています。これを基盤に表現をつくり、カタチにし、お客様に伝えたいことを伝え、市場を広げています。
ビジネスもまた同じです。現場を「舞台」とすれば、作り手による「台本」が必要です。それをもとに動かすシステムが必要です。わたくしどもの商品リニューアルは、ビジネスの「台本」をつくり、その台本を基盤に、「商品やサービスをつくってお客様に喜んでいただく」という経糸、商品リニューアル式商売のシステムを構築します。
エンターテイメントは2020年を起点に、苦境に陥りました。浅い人によって「不要不急」などとラベリングされました。しかし、これもまた横糸です。舞台、映画、音楽といったエンタメは、国境を超えて市場を開拓し、仕組みによって愛され続けてきた最強の商品です。ロミオとジュリエットのような古典が好き、古来の妖怪が好きであるように、マーケットは時代さえも軽やかに超えています。そして、自社商品サービスがそうならない理由が、どこにあるのでしょう。
商品リニューアルとは、新商品開発の基盤となる仕組みです。枝葉を切り落とした真髄です。大きく稼ぐハリウッド映画も、その基盤にあるのは神話やギリシャ悲劇の作劇法であり、商品リニューアルの仕組みそのものです。
名前を変えた、パッケージを変えた、たったそれだけのことで実は商品やサービスの売れ行きが劇的に変わります。売上だけの小さなことではありません。その波及効果は絶大です。注目度が高まり、話題になることで、企業の人気を押し上げます。会社の雰囲気が変わります。若手の採用も苦労せずに集まるようになります。商品リニューアルが、会社の若返りにつながります。会社が変わります。商品をリニューアルすることは、会社をリニューアルすることに他なりません。
人気が出るという「氷山」の下にこそ、目には見えない基盤があります。盤石があります。本質に向かって集中すべき時です。仕組みのある会社は、変化することを恐れません。現象は「横糸」であり、根幹は揺るがないと知っているからです。変化を楽しめる時こそ、より豊かになって自社が大きく飛躍する時です。
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