ノウハウ開示の危険性
「後藤さん、先日一緒に出ていただいた相手との交渉の件なんだけど、その後よくよく調べてみたら、数年前に相手の会社社長とやり取りをしていて、そのときにこちらのノウハウの一部と、契約書案と、見積書を提出していたんだよ。どうしたらいいと思う?」
これは、ノウハウライセンスについて相談を受けていたお客様から受けた相談事項です。
先日そのお客様と一緒に、相手の担当者と会い、相手方の考えを聞いた上でこちらの対応案を提示するということになったのですが、その後お客様の記憶を頼りに過去の資料を探していると、上述のようなやり取りをしていたことがわかりました。
当時は、結局ノウハウと見積書を開示したにも関わらず、採用されず別の方法を相手方は検討し始めたようですが、今回それがうまくいかず相談に来られたというのが真相のようでした。
私からは、
- 今回相談に来られたのが相手方社長ではなく営業の一責任者(決裁権なし)であること。
- すでにノウハウの一部を開示してしまっており、何の手立ても打たずこれ以上ノウハウを開示する事は非常に危険であること。
- 今回もお客様のノウハウが採用されるかどうかが不透明であること。
を理由に、今回は断ったらどうかとアドバイスし、その方向で対応するということになりました。
このように、ある企業が製品開発する上で中小企業やスタートアップ企業の保有する技術を導入するということが活発に行われつつあります。
その際に、自社の技術やノウハウを採用してもらいたくてついつい何の手立ても打たないままノウハウを開示してしまうこともあります。
これはあまりにも危険な行為です。
自社の屋台骨であった技術ノウハウを他社に開示し、他社のものにされてしまうリスクは計り知れません。
たとえ知った間柄であっても、今まで良好な関係であった相手でも、自社のノウハウを軽々しく開示すべきではありません。
事前にノウハウ管理体制を整える、
タイムスタンプ等、自社のノウハウであることを証明できるようにしておく、
相手方と事前に契約を結んでおく等、
それなりの手立てを講じることが必要です。
よくよく注意してください。
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