DX・IT・SDG’s・EC・D2C・・・・。新しい時代のビジネス、キーワードは ”心” 。
先週の当コラムでは、データ7割・勘3割が、コロナで激変した世の中では、勘7割・データ3割と逆転していると書きましたが、その続編とも言うべき内容を今週のコラムに書きました。
昨日の火曜日、私はコンサルタント仲間の方のご紹介で、人や会社のストーリーにスポットを当てる本づくりに専門特化した、ある小さな出版社さんに伺いました。
私の会社や私自身の本をその出版社さんから出すことが目的ではなく、とてもユニークな社長に会いに行った、話を聞きに行った・・・というのが、正確かもしれません。
出版社の社長はまず、どうして今の出版社を設立したのかをお話しされ出しました。
「Amazonがまだ上陸していなかった時代、自社の出版物を通販だけで売る出版事業を当初友人と2人で起こしました。当時、書店に流通させる術しかなかった時代でしたし、そのために問屋を通しての流通が当たり前でしたので、周りの同業者からは『絶対に成功するわけがない!』と言われましたが、それでもチャレンジしました。」
「まず女性向けの本を出版するのですが、通販でダイレクトメールを出すためのリストはまったく手元にはない。そこで共同経営者の友人と持っている名刺を出し合い、友人は90枚、私は60枚、合計150枚を出し合いましたが、ほとんどが男性の名刺。ですが、その男性の先には、奥様や娘さんがいるはずだということで、名刺住所へのDMからスタートさせました。」
この出版社の社長は、スタート時点で通販で本を売るという大命題に対して”見込客リスト”から、”顧客リスト”を手に入れるための戦略を、数少ない名刺から立てたわけです。
たった150枚の男性の名刺に奥様、娘さんという女性が平均各2名いたとすれば、300人が”見込客リスト”になる。そこから10%の人が購入してくれれば、30人が ”顧客リスト”になります。これではもちろんまだまだ少ない。今度はその30人の家族・友人・知人の女性へと繋げ、2倍・3倍・5倍へと広がっていった。今では小さいながらも安定した売上・利益を得られる、競合も少ない通販専門特化の出版社になりました・・・と。
私もゼロイチ起業ですので、この社長のされたことはすごくよく分かります。私も創業時は名刺くらいしか営業資産はありませんでした。
前職時代の名刺を活用し、コンサルティングを行う事業を開業した旨をDMでサービス内容とともに案内ました(創業時としては怖いくらいの費用)。著書を初出版した時にも、名刺リストすべてに案内を出しました。時代が違うので、著書出版の案内はE-メールで行いました。
通販ビジネスを展開されている方はよくお分かりだと思いますが、売上を齎してくれる顧客ではない ”見込客リスト”の獲得がまずなんといっても重要です。ですので、こぞって様々に集客のための広告宣伝を打ちます。このことはBtoBの営業ビジネスも同じでしょう。
営業や広告宣伝のための ”見込客リスト”がなければ、また集めなければ、企業を支える ”顧客リスト”にすることはできない、ビジネスそのものを始められないのです。
最も苦労するところではありますが、ここを乗り越えるしか、先はありません。
話を少し戻しますが、この社長の目の付けどころ、150枚の名刺から300人の見込客がいる仮説を立て、そこから30人の顧客を獲得し、30人の関係性がある人にも顧客になってもらう戦略は、単なる数字上の計算ではありません。人々の生活、家族、友人、ファンの人がさらにファンを連れてくるための戦術も、人の心を掴むような販促や商品があってこそ、できるものです。全てを語ってくれたわけではありませんが、私は女性の”心” を掴むマーケティングができているからこその成功なんだなと、強く感じました。
次に私の方の自己紹介をしました。ひとしきり聞いていただいた出版社の社長は「ギフト通販専門のコンサルタント先生なんですか。ギフトはストーリーが贈る人、贈られる人の両方にあるのでとても面白そうですね!私はまだギフトということを真剣に考えたことがないので興味があります。」と言ってもらいました。
続けて、ギフトに関して知っておられるエピソードを2つお話ししてくれました。
「今は上皇后となられた美智子さまですが、誰かに贈り物する時、どんなことを想って選ばれるかを聞かれた時、こうお答えになったそうです。」
『贈り物によって、”お相手が光り輝けるもの” を心掛けて選んでいます。』
身近な人へももちろん、お立場から諸外国の国賓クラスの方へ贈り物をされることは多々おありでしょう。贈る相手に喜んでいただけることが、贈り側にとっての願いであることは間違いないのですが、美智子さまの贈り物に対してのお考えを知らなかった私は、そこまでお考えになられているのか!と、衝撃を受けました。
高価なものとか、品のいいものとか、そういったことではない、相手のことを徹底的に考え尽くされた贈り物。贈られたお相手にモノではなく“心”が贈られるのだと、このお話を伺い、ギフトって本当にいいものだとあらためて思いました。
社長が語ってくれたもう1つのギフトエピソードは、おじいさんから嫁いでいく孫娘への贈り物のお話しです。
「すでに亡くなられたおじいちゃんが、いつか結婚するであろう孫娘に用意していたあるものをおばあさんに託した。結婚式の日取りが決まった日、おばあさんが「あなたにプレゼントがあるの。部屋にいらっしゃい。」と言って、孫娘に見せたのが白無垢の花嫁衣装。おじいちゃんは手紙までを、おばあちゃんに託していて花嫁衣装以上に、孫娘はその手紙に感動したんです。」
ニッポン昔話みたいなエピソードですが(笑)。
ギフトビジネスのサービスで言いますと、いわゆるオリジナルのメッセージカードを添えられますよ〜なのですが、そのメッセージカードは、提供側からすれば多数の中のたった1枚ですが、お客様にとっては ”一生ものの宝物” にもなるのです。
モノ消費、コト消費、トキ消費。ビジネス目線では、消費の動向、時代の変貌をしっかり見ておくことも、もちろん必要です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)・IT(インフォメーションテクノロジー)・SDG’s(サステナブルデヴェロップメントゴールズ)・EC(エレクトリックコマース)・D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)・サブスクリプション、シェアリングなど、現代ビジネスでの様々なモデルも世界からの潮流で、日本にもたくさん入ってきていますよね。
時代に沿った取り組みをしていないと未来はないぞ〜!と、追い立てられるような感じで。
私および当社も、クライアントに対してのコンサルティング指導を行う上で、またその中核を成す商品開発・ブランディング・マーケティングの仕組みづくりを進めるにあたって、しっかりとマーケットを捉えて進めてはいきます。
ですが、どのように時代が進もうとも、あなたの会社の主幹事業がBtoB対象であっても、その先、最終的に小売まで行き着く事業の場合、商品やサービスを届けたい消費者・顧客は、"個の人間"なんです。
“心” がどうであるのか?“
“心” を動かす商品・サービス・販促・広告・営業になっているのか?
“心” がベースになった企業の取り組みになっているのか?
起点がビジネス目線で、売上拡大のために・利益拡大のために(とは言わないでしょうけど)SDG’sへの取り組みをしています・・・ではなく、人のための“心” が本当に起点になった取り組みであるなら、きっと人の“心” を動かすものになるでしょう。
企業や経営者の見栄や、格好つけは必要ありません。“心” を、商品やサービスや取り組みを通じ、どう伝えるか。
相手の“心” に寄り沿った取り組みをしないと未来はないぞ〜!と、私自身もさらに肝に命じ、コンサルティング現場でもクライアントに対してもっと伝えていきます。
“心” には、中小企業も大企業も関係ありません。
あなたの会社は、“心” からビジネスが組み立てられていますか?
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