投資と投機を分かつ●●思考
2021年4月。まだまだ「不安定な経営環境」が続いています。業種業態によっても、その状況は実に様々です。コロナ禍への対応だけでも大変なのに、さらには天災のような状況にも見舞われ、本当に大変な影響を被っている…そんな大変な企業さえ存在します。
テレビやメディアをみていると、「コロナだから、もう仕方がないんですよ…」「ウチのような会社には、〇〇は難しいんですよ…」「ウチには、〇〇はできません…」とチャレンジする前から、全ての可能性を諦めてしまっている…、そんな社長さんが増えてきているようにも感じます。
それぞれご事情があってのこととは思いますが、社長自らが、会社の未来を諦めることほど、こんなに悲しいことはありません。何より、どんなに苦しい経営環境にあっても、社長自らが会社の未来を諦めるようなことは、絶対にあってはならないことです。
なぜなら、社長に人生を預けている社員さん達があまりにもかわいそうだからです。
その一方で、苦しい中でも「なんとか少しでも風向きを変えたい…」「社員の雇用を守るために、何とか状況を打破しなければ…」とあきらめることなく、困難に立ち向かっている社長さん方もたくさんいらっしゃいます。
どんな困難な状況下にあっても、決してあきらめない社長は、目先の未来だけでなく、もっと先の未来を見据え、真剣に更なる高みを目指しているものです。
どんな状況下であっても必ず突破口は存在します。ただ、その突破口に辿り着けるかどうかは、社長次第なのです。なぜなら、多くの場合、会社の中での最大の問題は、「社長である自分自身」だからです。
自社が置かれている状況を財務の視点から冷静に把握して、本当に打つべき「未来への一手」を正しく打ち続けることができれば、確実に未来は開けます。その上で、その「未来への一手」の選択肢を増やすために必要なのが「投資」です。
これは、例えどんなに苦しい状況下であったとしても、真に会社の未来を創るための「投資」であれば、財務的な視点から精査をし、しっかりと厳選した上で、コツコツ継続すべきものです。
ところが多くの社長は、経営が苦しくなってくると、ちょっとウマイ儲け話や、楽して一攫千金のようなアヤシイ話に飛びついたり、自社の強みや、自社の得意技をゼンゼン生かせないような畑違いのところへお金を突っ込んでしまったりするものです。
あくまでも「投資」である以上は、自社の強みや得意技を活かせて、その上で大きなリターンが見込まれるものでなければなりません。さらには、自社でちゃんとその「投資」をグリップできて、コントロールできるものに限るべきです。
なぜなら、もし万が一、お金を突っ込んだまま、自社で何のグリップもできなければ、コントロールも利かない…というのであれば、それは「投資」ではなく「投機」になってしまうからです。経営が苦しい環境下での「投機」は、致命傷になりかねない一大事です。
「投機」は会社を潰します。一方で「投資」は会社の未来を切り拓きます。財務を知らない社長からすれば、パッと見で同じに見えるところが非常に怖い部分です。
大切なことは、社長が真剣に自社の経営課題と向き合い、財務の視点から「攻める」「守る」「捨てる」経営判断をタイムリーに下すこと。その上で「何を捨てるか」と「何を攻めるか」を見誤らないことです。
あなたは、社長として、会社の未来をつくれていますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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