テレワークに欠かせない社員のメンタルヘルスへの早期対処
2021年に入り、今では、テレワークにだいぶ慣れてきたという方もいれば、新入社員や若手社員を中心に孤独や不安にさいなまれ、メンタル不調を感じているという方もいるようです。多くがコミュニケーションの不足によるものです。これまでは、毎日のように顔を合わせ、打ち合わせといえば必ず対面で行うという環境から一変したわけですから無理もありません。
他にも、時間管理が上手く出来ず自宅で長時間労働をしてしまうことにより、疲労が抜けない、通勤がなくなることで運動不足が重なるなど、1日の生活リズムの乱れ、それに伴う食生活や睡眠の乱れから、不調をきたしているという場合もあります。
経営リスクの観点から早期対処する
テレワークの利点は様々ありますが、デメリットもあります。それが、上記のようなメンタル不調が、対面以上に分かりにくい、見抜けないということです。ですから、なおのこと、注意深く、そして早めにメンタルヘルス対策を行うべきなのです。
社員のメンタルダウンは生産性の低下にダイレクトに影響します。中小企業では、たった一人のメンタル不調者が会社全体に及ぼす影響はますます大きくなります。メンタルヘルス対策を行わないことは、経営のリスクであることを肝に銘じるべきなのです。
では、実際に何をすべきなのか。
定期的なヒアリングの実施
まず行うことは、定期的なヒアリングです。仕事の状況、進み具合について、自宅での生活について、そして心身の状態について定期的に聞き取りをするのです。
業務を進めるにあたり、困っていることや不安に思っていることについても必ずヒアリングする必要があります。また、部下が頑張っている点については、言葉にして「頑張っているね」と伝え労いましょう。改善して欲しい点を伝える際は、まず、「出来ている点を伝える」→「改善点を伝える」という順番で伝えます。これもリモートだからこそ、あえて言葉に出す、文字として残すことが重要なのです。
自宅での生活については、規則正しい生活が送られているか、食事や睡眠が十分に取られているかなどを確認してください。
心身の状態へのヒアリングは、やる気が起きない、不安が拭えないなどの心の症状、また頭痛や腹痛など何等かの身体症状が出ていないかをヒアリングしてください。
心身の状態に関する聞き取りは大変デリケートな内容でもあります。部下があまり話したがらないようなら、根掘り葉掘り聞かず、「何かこれまでとは違うと感じることがあったら教えて欲しい」「今はストレスがかかる状況なのだから、不調になることもあり得る。だから一人で抱えないで話して欲しい」と伝えるのです。
チームや人間関係について質問して悩みを引き出す
実は、テレワークで実際に会うことが少なくなっているといっても、悩みの多くが人間関係でもあります。オンライン会議をする中で、ある特定の人や特定の業務に関する不満などを抱えることもあります。それを職場で同僚に話したり、相談したりできない環境なわけですから、あえて、チームや人間関係について質問してみてください。
気を付ける点について
メンタルヘルスに関する聞き取りはとてもデリケートなものです。そのため、ヒアリングをする側には、配慮が求められます。例えば、部下が話したがらないことを、根掘り葉掘り聞かないこと、部下のことを「気にかけている」、「心配している」ことを伝えること、そして一人で抱え込まないようにして欲しいと伝えることなどです。
この際、個人情報の扱いにはくれぐれも注意しましょう。本人の許可なく、チームメンバーに公表することは絶対にないようにしてください。
テレワークが継続されていくであろう、今後は、社員のメンタルヘルス対処や、ストレスマネジメントは、これまで以上に、経営側、管理側の重要かつ必須な経営課題となります。
ところが、社長がわけもわからず、管理職に「社員のメンタルヘルスに関するヒアリングを行うように」と言ったところでうまく行くはずがありません。デリケートで様々な配慮が必要なのです。一旦、社員との信頼関係が崩れると、取り戻すために時間と労力が必要となり、ますますメンタル不調者は見えにくくなってしまいます。
それを十分に理解した上で、メンタルヘルス対策を継続的に行い、徹底的に予防できる社内の「仕組み」を作ることをお勧めします。
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