デジタルトランスフォーメーション(DX)時代が到来。DXを駆使する前に理解しておくべきギフト通販の核心とは?
「先生、最近 “D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)” という言葉をよく耳にするようになりましたが、具体的にはどういったことなのでしょうか?」
先週行ったコンサルティング時でのご質問です。
オブザーバーとして参加される、そのクライアントで長年顧問を務められている方からでした。私なりに定義している”D2C”について、こうお答えしました。
「すでに自社サイトでネット通販も行っている御社でもすでにやっている・・・と、乱暴には言えるかもですが、要点はかなり違います。デジタル化が進んだ ”現代のメーカー直販” モデルと捉えてください。」
「自社製造、もしくは製造は委託したOEM商品のような、自社オリジナル商品とそのブランドを、卸販売など他者の介入は一切せず、自社ECサイトでの販売で完結させ、集客や顧客とのコミュニケーションも自社のSNSを駆使したり、ネット広告やSNS広告で行うものです。」
「そう、今まさに御社への導入を着実に進めているのが、御社独自の ”D2C” ビジネスモデルなんですよ。」
旧来のメーカー直販と違うと言ったのは、大きくは以下の理由からです。
- 自社WEB通販サイトには他社からの仕入商品も販売している
- ブランドの良さ、自社の強み、自社商品の強みが十分に表現できていない
- 自社サイトで扱っている商品を楽天などのモールにも出している
- SNSを活用していない、ネット広告を活用していない
このクライアントはコンサルティングが始まって4ヶ月、ちょうど今、核心のところに差し掛かろうとしているところで、ちょうどいいタイミングでのご質問でした。
当コラムでも昨年来より、アメリカからやってきた小売・ECの新潮流 ”D2C”に関することを折に触れて取り上げてきました。
なぜ”D2C”を取り上げてきたのか?
ネット通販マーケティングの新潮流であることもそうですが、何より当社の提供するコンサルティング「独自化されたギフト商品」を「通販(EC中心)」で売る仕組みの構築・導入はこの ”D2C” ビジネスモデルがピッタリだから・・・というのが一番の理由です。
それにもう一つ、別の大きな理由もあります。
特にギフトにおいてはブランド(有名かどうかだけでなく、どんなコンセプトでそこにはどんな理念が込められているか)から指名買いされることが圧倒的に多いからです。
大事な人に贈るものを選ぶ際、それがもし何かの記念に贈る日本酒だったとしたら。そして予算が1万円だったとしたら。
①新潟名水蔵元 純米大吟醸 720ml 9,800円
②寛永12年創業〈越後酒造〉純米大吟醸 誉 720ml 10,000円
自分で飲むものなら少しでも安い①を選ぶ人もいるかもしれません。ですが、大切な人のハレの日に贈るのものなら予算通り、もしくは予算少しオーバーしてでも信頼できそうな②を多くの方が選ぶのではないでしょうか。
もちろん、瓶、ラベル、化粧箱などがどんな優れたデザインかも見られて判断されるでしょうし、WEBサイトではどんな蔵元でどんな人が杜氏なのかを見られることもあるでしょう。
“D2C”モデルでは、単なる商品情報だけでなく、背景、ストーリー、想いなどのブランドおよび企業、お店の世界観を自社サイトやSNSを通じて他者へ依存や指図されることなく、自由に発信し、その世界観に共感する顧客と、より強固に繋がることがでるのです。
ファン化が出来ると、ギフト利用だけでなく、ギフト商品も自分用、自家用としても買われていきます。
さて話しは関連しますが、本日9月2日の日経MJの第3面にこのような見出しが出ました。
〜営業・販促「DX」が変える データ活用 顧客に成功体験〜 ウィズコロナ時代 重要デジタルマーケ用語
分かりやすく、まとめ解説がなされていましたので、少し抜粋します。
小見出し 〜営業・マーケティング手法のDXが求められる
●古典的営業手段の見直し
- コミュニケーションのデジタル化(オンライン会議システムの利用、BIツールの利用)
- オンラインミーティング時には議題を曖昧にせず、会議の目的を明確化
- 人間関係を築いて受注獲得するスタイル以外の手法の定着→価値ある情報提供(自社の教育コンテンツは営業コンテンツにも)
●マーケティング・販売手法の見直し
- 店舗以外の販路拡大(D2C=ダイレクト・トゥ・コンシューマーへの参入)
- サブスク方式のサービスで定期収益の確保→チャーンレート(解約率)を意識した戦略の必要性
- カスタマーサポート(顧客の不満の解消)だけでなくカスタマーサクセス(顧客の願望を満たす取り組み)が重要に→チャーンレート(解約率)を下げる取り組み
記事内容の詳細を知りたい方は、日経MJをご覧いただくしかないですが先に挙げたとおり、“D2C”モデルは、ビジネスの世界でコロナ以前からも言われてきてコロナ禍から一気に広まった感のある言葉、このDX(デジタルトランスフォーメーション)の中にあります。デジタル時代の自社通販とも言えるのではないでしょうか。
コロナ禍から巣ごもり需要が生まれ、しかもそれがまだ続く。もし終わったとしても新しい常識、新しい生活様式、新しいビジネス様式が定着する・・・ということを踏まえて、ここ数回の当コラムでの提言はネット通販・ECの中におけるギフトというような形を中心に、話しを綴ってきました。
DX=デジタルトランスフォーメーション、そしてその中に含まれるBI(ビジネスインテリジェンス)、Edtech(エドテック)、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)、サブスクリプション(定額制)、カスタマーサクセス(顧客願望を満たす取り組み)、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)など、様々なデジタル時代のビジネス用語が出てきていますし、それらを駆使するためのツールやシステム、ITサービスなども続々登場してきています。
ですが、実際に商品を販売していく会社が、これらすべてに踊らされて、何でもかんでも手を出せばいいということでは決してありません。
デジタル時代であることはしっかり見据えなければ、今も未来もありません。ですが絶対にベースとし、核とし、常に追い求めるべきことは、究極に言いますと以下の2つです。
・自社の価値や自社商品の価値
・自社のブランドの世界観
その上でもっと多くのお客様に知っていただくために、商品やサービスにご満足いただくために、長く使い続けていただくために、これらをどう表し、どう伝え、どう磨くかが何よりも重要で、これらのためにDXをどう導入するか、どう駆使していくのか・・・という2次的、3次的なところへ初めて行けるのです。
独自の世界観の構築にはDXは不要です。アナログである経営者、会社の考え、人の想いが作り上げるのです。優秀なAIを導入しても世界観まではまだ導き出せないでしょう。
流行のデジタルマーケティング用語や、デジタルマーケティング施策、デジタルマーケティングツールに決して振り回されないでください。
独自の商品、独自のブランド、独自の顧客サービス。
これらをどうしていくのかを考えた時、今の時代の表現、広告、営業においてDXが自然と浮かび上がっているだけなのです。
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