会社を我が子に継がせることができなかった私が真に伝えたいビジネスと人生の話
「まえがき」のようなもの
2020年9月19日、私の商業出版4冊目がマネジメント社から発売されます。その本には「まえがき」がありません。理由はありませんが、書きそびれたというのが実際のところです。そこで「まえがき」のようなものを書いてみたいと思います。
4年前に拙著『親子経営 ダメでしょモメてちゃ』(セルバ出版)を出版しました。そのときにある出版社の方から若いビジネスパースンに贈るメッセージのようなものが書けないかと打診されました。当時『働く君に贈る25の言葉』佐々木常夫著(WAVE出版)がベストセラーになっていました。これと同じようなものが書けないかと云われたわけです。私が出したい本はダメだけどこのテーマで書けるならということでした。
しばらく考えた後、この企画はお断りしました。私が出したい企画でなかったこともありますが、当時の私はそのテーマで本を書く自信がまるでありませんでした。2010年春、それまで経営していた会社を負債総額45億円で倒産をさせ6年が過ぎていました。妻と私二人だけの会社を起こし親子経営コンサルタントとして生きていこうとし始めたころでした。
本当に情けない話ですが、そのころの私は6年が過ぎてもまだ倒産、破産という経験から立ち直れていませんでした。何をするにも肝心な自信が失われていました。そんな私が世の若いビジネスパースンに贈る言葉を書けるとは到底思われませんでした。それがお断りした理由でした。その後、有難いことにセルバ出版から自分が出したい本を出せることになり、それでよかったのだと思っていました。
倒産、破産という大きな挫折から10年の月日が流れました。10年という長い時間を経、今回ようやく世の若いビジネスパースンに贈る話が書けるのではと思いました。我が娘と息子に伝えたいビジネスと人生の話がたくさんあります。その話を世の人たちにも読んで貰えるなら望外の幸せです。そんな想いでこの本を書いてみました。
私の子供たち3人はそれぞれビジネスパースンとして生きています。それぞれの伴侶もまたビジネスパースンです。彼らに私が遺せるものは私の言葉しかありません。会社や財産を残すことができなかった親父がせめてもの遺しものとして30の話を書きました。人の上に立つリーダーの話、子供たちみんなが悩む人間関係の話、私が失敗を重ねた経営の話、経営には欠かせない大切なお金の話、そして私の生きざまとしての人生の話を語っています。
今回の本には私たち家族の話がたくさん書かれています。そのことがあり事前に家族みんなに初稿を読んで貰いました。それぞれに不都合な箇所があれば訂正するからと言ってありました。嬉しいことに読んでくれた家族みんながよかったと言ってくれました。娘ふたりは感動したよと涙ながらに話してくれました。
一番どんな反応をするのか不安であった妻が喜んでくれていたので安堵しました。それ以降妻が心なしかそれまでより少し私にやさしく接してくれるようになったような気がしています。会社の倒産、そして個人の破産という経験を側で支え続けてくれた妻への恋文のつもりで全編を書きました。それが伝わったことがなにより嬉しく思っています。
あれから10年、上野の桜がまた咲きました。長年、経営者として生き続けてきた私が会社を継がせることができなかった我が子たちへ真に伝えたいビジネスと人生の話をします。
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