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業績を上げ続けている会社がやっている習慣

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

「中川さんはミスミにいらっしゃったんですよね。なんであそこはあんなに業績がいいんですか?」―― 先日ご相談にお越しになったT社長からのご質問です。

私がかつてお世話になったミスミは確かに業績を伸ばし続けています。昨年の売上は2001年から比べて約6倍になっているとのこと。新興ベンチャーならいざ知らず、B to Bの部品メーカーでこの数字は特筆すべきものでしょう。

ではなぜ同社は継続的に業績を伸ばすことができているのか? 私はT社長にお答えしました。「負け戦を認めているからでしょう」と。

「え? 負け戦…ですか?」 T社長は首を傾げて言われました。ずっと業績がいいのに負け戦とはピンとこないもの当然です。

あくまで私が在籍していた6年前までの話になりますが、ミスミでは各ビジネスユニットの事業責任者が来期以降のビジネスプラン(事業計画)を策定して経営陣にプレゼンをします。

そのプレゼンが通らないと来期の予算が獲得できませんし、通らないようなプランを発表したのでは自身のキャリアにも大きく傷がつきますから、各発表者は必至で今後の事業戦略について考えます。

しかし、多くの発表者が最初のプレゼンで猛烈な駄目出しを食らうのです。その様をここで描写することは控えますが、経営陣からの痛烈なフィードバックを受けて、完全に固まって動けなくなる人、本当に泣いてしまう人、意識がとんでしまう人…などなど、毎年多くの戦死者が出ていました。

では、そんな駄目出しを食らってしまうビジネスプランとはどのようなものだったのでしょうか。それは一言で言うと「現状認識が甘い」ということです。

現状認識と言うとさらっとしたものに聞こえますが、同社ではここを徹底的に深掘りします。自社の事業が市場で勝ち戦をしているのか、それとも負け戦かを判断し、負け戦であるならば、なぜ負けているのかについて「強烈な反省論」としてまとめることを求められます。「反省論」ですから、ただの反省ではありません。「論」、つまり負けのロジックを究明することが求められるのです。

しかも、自分の事業を「勝ち戦」と表明することはほぼ許されません。たとえ今は結果が出ていようとも、どんな事業にも補強すべき点や将来を見据えて変えていくべき点はありますから、奢ることなく「自己否定」することを求められるのです。

好業績が出ていたとしても、それを「負け戦」としてとらえ、勝ち戦とするための事業戦略を死ぬほど考える―― この自己否定のプロセスが同社が勝ち続けている最大の要因と私は考えています。

これとは逆に、業績の悪化が続く企業というのは、自社が「負け戦」をしていることをなかなか認めらません。業績数値は悪化していても、それを環境のせいにし、「自分たちはよくやっている」と自己肯定してしまうのです。

確かに環境の変化、それ自体は自分のせいではないと言いたくなります。

コダックがつぶれたのは、デジカメの登場のせい… 
 カーナビメーカーが苦戦しているのは、スマホナビの台頭のせい…
 家電メーカーの業績悪化が止まらないのは、中国メーカーの技術力向上のせい…
 書店業界が壊滅状況に追い込まれたのは、アマゾンのせい…
 自動車メーカーの将来が危ぶまれているのは、人口減と自動運転技術のせい…

誰かのせいにして「自分たちは悪くない」と思っていた方が当然楽です。しかし、ビジネスは結果がすべてです。結果を出せない企業は市場から追放されてしまいます。環境の変化を嘆いていても誰も助けてはくれません。

まずは自社の事業を「負け戦」だと認めること―― ここからすべては始まります。なぜなら、問題を問題と認めることなしに、問題が解決されることはないからです。

そして、ミスミに限らず、うまくいっている企業の経営者ほどこの自己否定に向き合っています。当社にご相談に来られる経営者の方々においても、「いまはうまくいっていますが、将来〇〇という状況にならないように、いまから仕込んでおきたい」といったことをおっしゃる方が非常に多いです。

世の中というのは、常に移り変わるものです。いつの時代であっても「激動の時代」と言われるように、世界は常に不安定です。安定の時代などありません。そんな不安定な世界でビジネスをやっていて、自分たちの事業だけ変わらずに済む道理はない、というのは当たり前の話です。

「狂気とは即ち、同じことを繰り返しながら、違う結果を期待すること」―― この言葉が示すとおり、自分たちがまず変化を起こさなければ、結果が変わることはありません。歴史的に日本人は外圧に押されて変化を起こしてきたと言われますが、ビジネスにおいては自ら変化を起こさなければ、淘汰される側にまわるだけです。

御社のビジネスは勝ち戦ですか? もし負け戦だとしたら、その「負けの構図」は見えていますか?

現状から目を背けず、お客様と社員のために自己否定と向き合い、どこまでも勝ち戦を目指す経営者を当社はこれからも応援していきます。

 

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