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売上利益を向上させる「大正解」の導き方

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

いよいよ消費税率10%が始まりました。ネットニュース、テレビや新聞などでは、長引く自然災害の影響と、増税によるシステム変更に迫られ廃業を決めた店主たちのエピソードが紹介されています。大局、対岸からこうした風景を観る人たちにとっては「新陳代謝」という言葉で表現されるものかもしれません。しかし中小企業経営者にとっては、明日はわが身。同時代、この社会に生きる経営者として、胸がつまる思いです。

一方、日曜日「日本 優勝候補破る、アイルランドを逆転」というキャッチが踊ったラグビーW杯。ラグビーの第9回ワールドカップ(W杯)日本大会は9月28日、静岡・エコパスタジアム(袋井市)で、日本が一次リーグA組の2試合目に挑み、優勝候補のアイルランドを19対12で破りました。

世界ランキング2位を相手に、だれもが「勝利は厳しい」、選手さえそう感じていた、という中での逆転劇そして大金星。土曜の夕刻、スタジアムで、オフィスで、家で、驚きと歓喜の声。久しぶりの明るい話題に込み上げるものがありました。

この勝利に酔いしれたのは、ラグビー関係者だけではありません。実はわたくしどもが支援するA酒造もまた、日本ラグビーのごとく起死回生をかけ商品リニューアルを実施し、今回の逆転劇に自社を重ね合わせていました。

商品リニューアルで大逆転

A酒造との出会いは2年前に遡ります。北関東圏にある創業百年以上の歴史を持つ老舗日本酒メーカーです。弊社主催の「商品リニューアルセミナー」に社長が参加されました。黒く大きなキャリーバッグを引いてお越しになりました。

セミナー終了後、社長はキャリーバッグから日本酒の一升瓶をテーブルに2本お出しになられました。「これを商品リニューアルしたい。見ていただけませんか」と直球です。拝見しましたところ、懐かしいタッチのスポーツイラストのラベルです。

日本酒のラベルといえば筆文字で描かれるような伝統的デザインが主。トレンドとしてはワインラベルのようなシンプルでモダンなラベル、女性ターゲットの可愛いデザインラベルが人気です。どちらのイメージからも離れている商品でした。

その日はファーストインプレッションをお伝えするに留めました。すぐに「個別相談」をお申込みになりました。自社の状況を詳しくお話ししたいということでした。

このスポーツラベル開発は、社長の“夢”でした。年々日本酒を飲む人が減少している中、ラグビーW杯と東京五輪を応援する日本酒を世に送り出し、訪日する世界の人に「日本酒」の素晴らしさ、楽しさを体験してほしい、もっと日本酒の世界を広げたい。人生の集大成としてチャレンジしたい、と。

実際、広告代理店に依頼してラベルのプロトタイプを創っておられ、広告代理店経由でプレスリリースも発信していました。しかし、焦りすぎたのか、リリースには反応がまったくなかったこと、社長ご自身がデザインに満足していなかったこと、代理店の対応に不満があった等々、課題が解決できずモヤモヤ状態。たまたま弊社のセミナー案内を手にし、申し込まれたのです。

そして、ちょうど2年前の秋に弊社の“商品リニューアル”のプロジェクトがスタートしました。社長とわたくしどもの二人三脚で、商品リニューアルの仕組みづくりを構築してきました。

中小企業であろうと大手であろうと、わたくしたち人間の営みである以上「完璧」ということはあり得ません。A酒造の場合には、簡単に言えば「企画書」「指示書」といったような「紙ベース」のビジネスの設計図、マニュアルが無、ということがとても大きい課題でした。社長の勘所で商品開発からマーケティング、販促、営業をされていました。

商品と情報過多の時代の商品戦略です。トレンドや顧客心理を根拠とした企画ではなく、プロダクトアウト式・社長発案の企画商品の場合には、社内を啓蒙することが生命線。

社長が商品に対する「念」「想い」にはじまって、コンセプトやお客様イメージ、プロモーションの方向性など、書面にして社内共有し、何度もくりかえし説明していくことが重要です。老舗の強みで、A酒造には先代たちが綴った「業務日誌」=商いのノウハウを伝承する古文書があることがわかりました。商売の原点に立ち返れば課題がクリアできます。

このように、仕組みづくりとは「全体性」、流れを作ることに他なりません。どの企業にも、一社一社独自の物語があり、商習慣があります。大きく俯瞰することで、良い習慣を復活させ、今の時代にフィットさせていくこともまた、商品リニューアルの使命だとわたくしどもは考えております。

売上利益拡大を超える「価値」

コンサルティングの半年で、仕組みを構築してゆきました。デザイン、ネーミング、マーケティング、販促とPR戦略を実践しています。今もまだチャレンジの途中ですが、今年に入ってテレビ取材やネット媒体の取材など露出が増えています。

こうしたことは、「商品リニューアル」の仕組みを回しながら、まだW杯もオリンピックもスタートしていない時期からプロモーション活動、種まきがあったからこそ。しかし、商談させていただいた中には「盛り上がるかどうかわからないイベントでリスクはとりたくない」とか、「日本酒とスポーツイベントの必然性がない」という声を頂戴しました。

山あり谷ありどん底もある中、支えてくださっているのが、やはりエンドユーザーであるお客様です。東から西まで日本酒イベントで出会った国内外のお客様で、スポーツがお好きな方、お子さんがスポーツをされている方、スポーツ関係の指導者、海外のお客様たちがA酒造のスポーツラベルを喜んでくださいました。スポーツカフェや居酒屋の店主様が、まだ本番が始まってもいない時期からオーダーしてくださいました。

商品もサービスも過剰、しかもマーケットは自然減小の時代です。モノがあふれ、ITが進化し、誰もが刻々と時間に追われ、「ボーッと生きてるんじゃないよ」と叱られる時代です。たくさんの人をターゲットにした戦略が難しいのは明らかです。大多数には人気出ない場合でも、その「人」に合った商品というものがあるのです。大多数に売れなくても、その人にとって「最高」の商品サービスであれば良いのです。フォーカスすることがビジネスに「力」を生みます。

A酒造の挑戦は、今スタートしたばかりです。ラグビーW杯の逆転劇に、社長もわたくしどももこの2年間の歩みに重ね合わせパワーをチャージしました。幸運なことにラグビーラベルの反響、そして問合せが爆増しています。こうした状況の中、社長の胸をときめかせているのは何か。もちろん数字もあるでしょう。しかし、それよりももっと強く社長の心をワクワクさせているものがある。それは、「新しいお客様との出会い」です。

「商品リニューアル」は、自社商品を売れる商品に変えるだけではありません。売上利益拡大、これも大事です。しかしもっと大切なものがあります。それが「新しいお客様との出会い」なのです。

商品リニューアルした愛すべき自社商品が、新たなステージを拡げてくれます。そして「商品リニューアル」は手法、ノウハウ、テクニックといったこと以上の価値を導きます。それは、現状のままだったら絶対に出会えなかったであろうお客様、わたくしたちは「新しい仲間」と定義しています、を増やしてゆくことに他なりません。そうです、時がめぐり、どんな時代がやって来ても新しいお客様との出会いに胸をときめかせましょう。その軸を一気通貫させましょう。商品リニューアルでビジネスの大逆転を、そして大金星を。

次は御社の番です!

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