財務を知らない社長が陥るお金がなくなる節税対策
当社は同族会社専門の財務コンサルティング機関ですので、同族会社のオーナー社長さんや2代目・3代目社長などの後継社長さん方から寄せられる会社経営にまつわるお金の悩みについて、日々ご相談をお受けしています。
「これまで一切、財務に関わってこなかった」という社長さんもいれば「自分なりに勉強しながらやってきたけど、どうも上手くいかない」という社長さんもいらっしゃいます。一見すると「我流で財務と関わってきた社長」の方が財務中心の会社づくりがスムーズに進むように思われますが、実は「全くゼロベースの社長」の方が、多少、財務中心の会社づくりがスムーズに進む傾向にあるようにも感じています。
我流で財務と関わってきた社長の場合、「間違った節税対策」や「場当たり的な資金調達」、「無理な売上拡大」や「無策な過剰投資」などの悪手を、知らず知らずのうちに打ってしまっているケースがほとんどだからです。本人は「財務のつもり」として行っている経営判断が、結果的に自社の財務に悪影響を及ぼしているのです。
お話を聞くと「財務のことはわかっているつもりだった」「本で読んだ情報や、人からすすめられた話で決めてしまった」と、当のご本人は良かれと思って行った経営判断なのです。しかし、会社の貴重な財産である「お金」を使ってしまった結果、ますます経営が苦しくなってしまっているケースがほとんどなのです。
会社経営にまつわるお金に関しては、本当に注意して判断していかないと後々取り返しのつかないことになってしまいます。社長が行うべき財務の実務は、一般には知られていない絶対的な手順と、見落としてはいけない幾多のチェックポイントが存在していますので、表面的な情報を鵜呑みにすることほど危険なものはないと気付かなければならないのです。
多くの社長は「節税対策=節税のための商品を買うこと」と考えます。
しかし、それは間違いです。
お金を使わずに出来る節税対策もたくさん存在します。一時的に課税を繰り延べるだけでなく、永久に課税させない節税対策だってあるのですが、どうしても「節税対策=節税のための商品を買うこと」という認識が強いものです。
代表的なものとしては「不動産」「保険」「リース」などですが、いずれも高額で、安くても数百万円、億単位の商品も数多く存在します。最も悩ましいのが、失敗が発覚するのが「購入したタイミング」ではなく「購入後数年経過したタイミング」のため、気が付いた時には傷跡が大きく広がっている点です。
よって、財務が弱い会社が節税商品を購入すると、想像以上の資金不足に陥り、借入依存体質になってしまうのです。銀行は、弱い財務の会社には厳しい融資をします。悪条件での借入を余儀なくされてしまい、負のスパイラルに突入していくわけです。
社長が絶対的に知っておかなければならないことは「節税対策の商品は、至る所に数字のトリックが潜んでいる」ということです。「オトク?」と思うような情報でも、実際のところそうでもないケースが多々ある…のです。そのシビアな「現実」を知っているのと、知らないとでは、天と地ほどの差が出てきます。その真贋を見極めるためにも「財務」を知っておかなければならないのです。
あくまでも事業永続のために最も大切なことは「儲かって潰れない」「利益を出してお金が残る」強い財務体質の会社をつくることです。社長は財務の視点から、自社にとって最適な税務戦略を考えられるようにしておくべきなのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。もっといえば、会社の未来を創ることです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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