“お父さん泣いているの?ああ…
先月末日、父が亡くなりました。上行結腸癌を煩い、一ヶ月の入院治療。
最後は腸閉塞の為苦痛があったようです。
痛みのため、声もでません…。
10月1日腹痛を訴えて、病院へ。
癌をすぐに分かり入院治療を始めましたが、ステージ4.
10月31日10時10分、亡くなりました。
家族が顔を合わせて始めに口についた言葉は、
「お父さんらしいね、数字の並び方。」
そう、父は大正14年1月1日生まれ、そして死亡は10月31日10時10分。
カウントしやすく・覚えやすい数字が使える数字。
カウントしやすい配置、覚えやすい合わせ方、使い易い数字にしておけ、といつも口にする人でした。
私に数字を教えたのは父。
教えられたのは、在庫の管理でした。
私の実家は、米・酒を扱う小売店です。
毎朝、食事の前には、お掃除と品だしが、日課でした。
それが終わると、必ず父からの質問。
「今日は、どの棚拭いたの?」
「う~ん、お酒の棚。」
「そうか、じゃ、倉庫にこの銘柄の酒は何本残っている?」
棚の本数は、聞かれなくとも分かります。
棚は、最初から8本2列だと分かっているから。
しかし、倉庫から持ってきたけれど、その残数は数えていない。
しかも、酒瓶の箱は、何段か積まれていたハズ。
何となく、やらないと叱られるからやっている私は、数を数えていない。
だって、棚を拭いて、品出し補充したら、それで仕事は終わりにしたいが私の気持ち。
…、隣のさっちゃんは、こんな事させられていない。
さっちゃんはもうすぐ迎えに来るよ~。
一緒に学校に行って、遊びたい~
「えーと、もうさっちゃんが来るから、学校行く!」
「在庫の管理が、商店の仕事なんだ。勉強なんかできなくてもいい。稼ぐ事を覚えろ!」
朝から、叱られるのが、日課でした。
たった4つの数字。
私の幼い頃、酒税の申告は、酒店の業務の1つ。
父は申告書類を、毎月月末に作成していました。
この申告には、在庫管理が必要でした。
書類には、
在庫個数=前月残個数-売上個数+仕入個数
を記入する欄があり、毎月毎月月末の数字が記載されていきます。
現在残があって、売れた品があって、仕入れを加えると、現在残。
当たり前の計算ですが、どういうワケか、この個数が不思議に合わない。
それは、この書類が書ける・書けないの問題以上の事です。
「ミス・ロス・不正」を防ぎます。ゴメンなさいがいえるウチ
なぜなら、残数が合わないのは、そこに何らかの「ミス・ロス・不正」があるからです。
たった4つの数字です。
その数字が整わない理由が、「ミス・ロス・不正」です。
父から教えられたのは、毎日数える事が、『「不正」を生まない。』という法則です。
在庫管理を素早くして、計算を速くする、それも大事かもしれないが、
ほしいのは、「ゴメンなさい」で済む関係を造ること。
数えまちがいも、落としてわってしまう事も、「ゴメンなさい」で事は済みます。
これが一ヶ月後になると、なぜこんなに多くの個数が合わない?に。
そうなると、「不正」と言う言葉が持ち上がってきてしまいます。
たった4つの数字が、人を疑う事から私達を解放するのだと教わりました。
“お父さん、私は今感謝です。ありがとう”
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