永く続く会社にするために社長がやめるべきこと
当社は、同族会社と社長の財産管理(お金が残る仕組みづくり)実務の専門機関なので、実に、様々な会社経営にまつわるお金の相談ごとが寄せられます。自ら会社を創業したオーナー社長さんもいらっしゃれば、二代目・三代目・四代目などの後継社長さんもいらっしゃいます。
社長さんご自身が自社の問題点を理解していて、その解決のための当社の門戸を叩かれるという方もいれば、自社が抱えている問題の本質がわからず、どこから手を付けたらいいのかわからない…といった方もいらっしゃいます。しかし、当社にお見えになられる全ての社長さんに共通しているのは、「自社が抱えている課題と正面から向き合う覚悟」をお持ちだということです。
よく「会社の決算書」は、「社長の決算書」といわれますが、1年間の業績やお金の動きを数字でまとめたものが決算書です。逆を返せば、社長が未来に向かって正しい経営判断を下し続けることができれば、自ずと決算書の数字も良くなりますし、財務に関連する指標なども良くなっていきます。
しかし、社長が自分の会社の現実と向き合うことから逃げていれば、いつまで経っても経営は良くなることはありません。いつまで経っても経営が苦しいままであれば、当然ながら、決算書にも、その様子は数字で具体的に現れてきます。会社にお金が残らないまま…、社員一人当たりの平均給与も低いまま…、銀行からの融資条件も悪いまま…。もし、そのような状態が何年も続いているということであれば、まずは、社長自身が会社の現実と向き合う勇気を持たなければなりません。
経営状態がいい時であれば、自らと向き合うことはさほど難しいものではありません。それに、そもそも日頃から、数字で自らと向き合う習慣をお持ちの社長であれば、経営が苦しくなるような状況にならないよう、先手先手で未来に繋がる「次の一手」を打っているはずです。
その一方で、中には、現実から逃げ、その原因を周囲や経営環境のせいにしたりする人もいます。
「景気が良くないから、どうしようもない…」
「業界全体が厳しいから、打つ手がない…」
「ウチの会社は田舎だから、仕方がない…」
あたかも自分自身に言い聞かせるかのように、誰も聞いてもいない「できない理由」を上手に説明したり…、ひどい場合には、会社の決算書を操作したりします。しかし、どんな厳しい業界でも上手くいっている会社というのは存在しますし、逆に、景気が良い業界であっても、経営が上手くいっていない会社だって存在するものです。
会社の内部に、どう頑張っても利益が出ない「赤字事業」があった場合、もし、この赤字事業が立ち上げたばかりで、将来性があるようなものであれば、時間をかけて育てるという選択肢もあります。しかし、市場そのものが縮小していて、利幅もほとんどとれないようなものであれば、どんなに他の事業で利益を稼いでも、どんなに頑張って節約に節約を重ねても、経営が良くなることはありません。「構造そのもの」に問題があるからです。
その様子は、決算書にも表れてきます。具体的には、損益計算書(PL)の中に、自社が抱えている経営課題が数字で表現されてきます。もし、社長として、強く永く続く会社づくりをしたいと本気で願うのであれば、会社の状態を数字でタイムリーに理解して、正しい決断を繰り返していかなければならないのです。社長が「攻める経営」「守る経営」「捨てる経営」の3つの決断と向き合うことこそが、最も重要なことなのです。
あなたは、社長としてどちらの道を選びますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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