業績のよい企業は「顧客メリット」を販売している。
「藤冨さんなら、このグラスをどうやって売り込みますか?」
先日、経営者の集う勉強会にお呼ばれ講師として登壇した後、懇親会で挑戦状を叩きつけられました。
質疑応答では、なぜ「それは売れる」「それはこのままで苦戦する」というコメントをいくつか答えていたので、が不思議に思われたのでしょう。
「なぜ業界も商品も知らないのに、売れる・売れないの助言が出来るのか?」と。
私は、占い師でもなければ、予想屋でもありません。
確かな顧客心理をベースにして、売れる・売れないの判断をしています。
まず「この商品は、誰にとって、どんな貢献をするのか?」と言う営業の切り口を見極めます。
例えば、ビールグラスなら、「なぜ、取手が付いているのか?」「なぜ、この厚みが必要なのか?」「なぜ、底に“くぼみ”があるのか?」 構造や機能を一つずつ丁寧に拾い上げ「なぜ?」を繰り返していきます。
これは、構造や機能の「制作意図」を掘り下げるためです。
その「制作意図」には、こうした方がより良くなる!…という企画・開発者の想いが詰め込まれています。
その想いとは、貢献意識。
つまり「顧客メリット」の想定です。
取手が付いているのは「ビール」を温めない配慮だと想定できます。
厚みがあるのは、洗っている最中に割れて怪我をさせない配慮かも知れません。
底に“くぼみ”があるのも、熱伝導率を抑え温めない配慮でしょう。
ここで気づくのは、登場人物は2名いるということ。
つまり、ビールジョッキを使う人と提供する人です。
お金を払うのは、提供する人です。
冷えたビールを美味しく飲んでもらいたい飲食店経営者です。
冷えたビールを美味しく飲んでくれれば、リピーターになってくれるかも知れません。
そう考えると、ビールジョッキを購入するメリットは、極論すれば、「飲食店オーナー側に経った際の顧客満足の獲得」だということが見えてきます。
ならば、「ビールジョッキそのものを売る」のではなく、「冷え冷えのビールを美味しく飲める…しかも割れにくいジョッキ」を売ることに着眼したセールスアプローチをすることが、営業の切り口となります。
思考を煮詰めて、煮詰めて、煮詰めまくって、最後に残ったものが、パンチ力の強いセールスメッセージになります。
私は、様々な業界や商品と向き合うときに、必ずこの「顧客メリット」を徹底して煮詰めていく質問を繰り返します。
業界の中にどっぷりと使っていると、習慣となっているアタリマエのことは、深く考えず、煮詰める作業をしなくなります。
私が「なぜ、それはそうなっているのですか?」と質問すると、パッと答えが出てくるケースは少なく、「アタリマエのことだから深く考えたこともない」ということが本当に多いのです。
灯台下暗し。
売れるヒントは、必ず「足もと」に転がっているもの。
その足もとに転がっているヒントを見つけるには、その商品が成り立っている「構造」や「機能」または「性能」に着眼して、なぜそれが必要なのか?
これを徹底的に問い出すことで、顧客メリットが明確になり、売れるヒントが必然的に浮かび上がってくるのです。
御社では、自社商品の「顧客メリットの追求」を徹底して煮詰めていますでしょうか?
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