理想と現実の折り合い、どうつけていますか?
「3年後、5年後にどうなりたいですか?貴方のビジョンは何ですか?…とよく尋ねられるのですが、ハッキリ言ってよく分かりません。そんな先のことよりも、目の前の仕事をこなすことの方が大事ですよね。」
先日お会いした若手経営者のお話しです。最近はどこへ行っても「ビジョンは何か?」「理念はどうだ」とよく話題に出るらしく、「そんな事ばかり言っていても売上は上がらないんじゃないか?もっと現実的で具体的なことを考えるべきだ」と言うのが彼の言い分です。
確かに、ビジョンだミッションだという言葉は耳障りが良く、「未来に向かって挑戦しているんだ…だから目先スグには売上が上がらないんだ」…という言い訳にもつながりかねません。そんな事よりも、今日の注文や明日の集金の方が現実的で売上に直結すること間違いナシなのです。
また、先日こんな経営者にもお会いしました。「今は、社会にどれだけ貢献しているか?という事が消費者からも取引先からも問われる時代。金儲けより人助けが大事だと思います」と。彼は本業はそこそこで、とにかく地域のボランティアや後輩経営者の相談相手になってあげている立派な経営者なのですが、自分の会社の業績は今ひとつのようで、傍から見ていると少々心配な一面もあります。
自社の業績を確実に伸ばし、ビジョンも明確、進むべき方向や今やるべきことがハッキリしていて、更には地元にも貢献できる存在である…そんな会社であり経営者であるに越したことはありませんが、なかなかそう上手く行くものではありません。多くの経営者が、「こう在りたい」という理想と、「でもな~」という現実の間で行ったり来たりしているのではないでしょうか。
私がご指導させていただく、企業のブランド化や人材育成の仕組みづくりはかなり力がいる取り組みで、目先の売上優先という企業には向かないかもしれませんが、多くの経営者からいただくご相談で、深刻な課題を抱える企業に共通していることは、“やらなければならないと分かっていたが、先送りにしてきた”、“いつかそう言う時が来ると思っていたが、何とかなると思っていた”という考え方が染みついた会社です。
「何とか食えている間は、人は動きませんよね。」…先日ある先生がおっしゃいましたが、正にその通り。何とかなる、そのうちできる、と思っている間はなかなか行動に移せないものです。しかし、小さくても前向きな行動は確実に未来を変えていきます。先日もこんな嬉しい声をいただきました。
「社員の役割を明確にしてあげたら、パート社員さん達が会議で活き活きと発言してくれるようになりました!」「実績を見える化したら、目標達成意欲が高くなり、社員の営業スタイルが変わりました!」「イベントで顧客を呼ぶようになったら、社内がキレイになりました!」など。ひとつひとつは小さなことかもしれませんが、会社にとっては大きな効果です。なぜなら、イキイキしている社員は顧客から見てもとても魅力的に映るし、当然評価も上がります。評価が上がれば売上も上がり、経営者にとってこれ以上嬉しいことは無いはずです。
そして、そんな風に社員が“イキイキ”する根底には、経営者の“ワクワク”があるのです。会社をこんな風に大きくしたい、社員にはこんな風に活躍して欲しい、地元にはこんな風に貢献したい…これこそが社会から求められているビジョンであり、社員の元気の源なのです。
経営者の皆さま。最近、“ワクワク”していますか?いつの間にか目先の売上に執着していませんか?会社の形や大きさ・品質は社長の思想で決まり、社長のビジョンが確実に会社の未来を創るんですよ。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。