プロジェクトの成功には戦略推進の機能が重要な理由
先日、従業員規模150名の経営者から以下の相談を受けました。「先生、当社の戦略的課題解決のために、プロジェクトチームを発足させて色々な取組を行うのですが、全て中途半端で終わってしまいます」、「先日は、コンサルタントを入れてまで行いましたが、同じ結果でした」何かいい方法はないでしょうか?
このお話を受けて、3つほど取組の仮説のお話をしましたが、その中でも、100名規模以上の企業で押さえておいて欲しいことを、ひとつ取り上げてこのコラムに書きたいと思います。
企業の取り巻く環境や組織風土によって、色々な方法はあるかと思いますが、100名規模以上の会社でプロジェクトを成功させるために押さえておくべきポイントと言われれば、あなたは、何を想像されるでしょうか。
プロジェクトの戦略の構築でしょうか?
プロジェクトの仮説構築でしょうか?
プロジェクトメンバーの選定でしょうか?
あなたの答えは、何でしょうか?
当然、答えに正解不正解はありません。今回は、あくまでも当方の私見として、「こんな考え方もあるのか」ぐらいに、聞いていただければ嬉しいです。
当方の私見は・・・。
“戦略推進チームの本気度(覚悟)です”
「えっ、どういう意味ですか?」という声が聞こえてきそうですね。
企業規模が100名を超えると、社長一人の力でプロジェクトの運営は厳しいと思っております。プロジェクトで決まったことを推進していかなければいけないためです。
そう、頭でわかっているだけなら、単なるお勉強です。それを出来るに変えていかなければなりません。出来るに変えるためには、推進が必要になります。
「乾さん、また、当たり前のことを言っていますね」と言われそうです。でも、戦略構築の取り組みや、業務マニュアルを作成だけして終わっている会社も良く見かけます。そう、頭でわかっているだけで終わっている会社です。
15年ほど前、人事考課のための分厚いマニュアルを作成して、その分厚いマニュアルが活用されずに倉庫のどかに保管されて、結果として鉛筆なめなめで人事考課をしている企業を十数社ほど見てきました。しかも、そのマニュアル作成費に1,000万円以上も投資されていました。
このマニュアルが、人事考課で活用され、そこからブラッシュアップして、最後に鉛筆ナメナメに落ち着いたのなら、まだましです。
でも、そうでなければ、マニュアル作成は、人事考課のお勉強のために使ったものになります。百歩譲って、人事考課の勉強のためにマニュアル作成であれば、投下した1,000万円も無駄にはならないと思います。
皆さんの会社では、そのようなことは起こっていないでしょうか?
また、話が脱線しそうなので、本題に戻します。
100名規模以上の会社になれば、プロジェクトの推進には、そのプロジェクトを推進するチーム作りが必要になってきます。
誤解のないように伝えておきますが、推進チームは、事務担当窓口のことではありません。プロジェクトで決まったことを、いかに組織に根付かせるかという重要な役割を担っています。この推進チームの動きや取組みがプロジェクトの成功の70%以上を占めるといっても過言ではありません。
すいません。本題にもどしましたが、また、ちょっと、脱線させてください。
当方が30歳のサラリーマンコンサルタントの時、200社の地域家電店の売上を半年で対前年比200%を達成させるプロジェクトに取り組んでいました。
結果として、200社の平均として200%の実績は達成しました。そして、その後、1年半で500社を担当しました。(恐らく、1年半で500社の指導実績とプロフィールに書くと信じてもらえないので、プロフィール上は、地域家電の支援は200社にしています。)
なぜ、このような実績を30歳の若造が出来たのでしょうか。1年半で500社の地域家電店の売上を倍増させることが・・・。
コンサルタント会社のノウハウが凄いから・・・。
それも、あるでしょう。でも、私が30歳の時、そのコンサル会社の社長から教わったのは、ノウハウも重要だが、それ以上に大事なのが戦略推進です。
そう、戦略推進の仕組みがしっかりと出来ていたので、大きな成果を残すことが出来たのです。よって、詳細は書くことは出来ませんが、この地域家電店活性化プロジェクトを実施する上で、地域家電店向けの業績アップ指導よりも、推進チームの会議に重点をものすごく置いて取り組んでいました。
そう、研修で単なるお勉強会で終わっていれば、対前年比200%の成果保証は出来ないためです。
この体験が、身に染み付いているので、大きなプロジェクトに取り組む時には、戦略推進チームを必ず作り、その推進チームが運営できる仕掛け構築に力をいれていきます。
そして、この戦略推進チームがプロジェクト成功の鍵になることから、この戦略推進チームの本気度(覚悟)が問われます。そう、社長や幹部から言われてやらされ感覚でやっているのか、会社の将来を見越して、是が非でもこれを根付かすという本気度(覚悟)があるかどうかです。
“本気度(覚悟)です”
人が動く瞬間は、経営ノウハウの凄さや、ハウツーの凄さではないと私は思っています。それを取り組む人の本気度(覚悟)だと思っております。この本気度(覚悟)が人に伝わって、行動していくように思えます。(あくまでも当方の私見です)
よって、推進チームが会社から見て、何かあの人たちの発言や行動が変わったねと社内の人から言われるようになれば、プロジェクトの成功に近づいていくように当方は感じています。
ちょっと、精神論にも聞こえてきそうですが、プロジェクトチームの本気度(覚悟)はものすごく大事だと思っています。
この推進チームの本気度(覚悟)が高まれば、後は自走していきます。ただ、この推進チームの本気度(覚悟)が高まらなければ、単なるお勉強会で終わってしまいます。
よって、大きなプロジェクトを取り組む時の当方のスタンスは、経営ノウハウを理解していただくことも重要なのですが、いかに本気になって動いていただけるかというところも大事にしています。
これについては、正解も不正解もないため、いつも当方は悪戦苦闘しているのが実情です。時には、上手くいかない場合もあります。でも、推進メンバーを信じて、自分の発言の仕方や取り組み姿勢を常に反省している毎日です。
また、本題から外れそうなので、まとめに入ります。
大きなプロジェクトに取り組む時には、戦略推進チームが重要なキーファクターになるということです。そして、その中で大事なことは、本気度(覚悟)ということです。
貴社が大きなプロジェクトに取り組まれる時には、参考にしていただければ幸いです。
追伸)最後にもうひとつ余談ですが、推進チームの本気度(覚悟)が高まったとしても、経営者の本気度(覚悟)が低く、推進チームに丸投げしている場合は、本末転倒です。
経営者と推進チームとコンサルタントとが三位一体となった時に、力を発揮するというのは言うまでもありません。この三位一体のひとつでも本気度(覚悟)がマイナスになると成果は確実に生まれなくなります。
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