開業カウンセラーがクライアントの要望に応えてはいけない理由
「一生懸命クライアントの要望に応えたけど、上手くいかない」
クライアントが不安を抱えていたので、その不安を減らすイメージワークをしました。その場で不安が軽減したので、クライアントは満足気に帰っていきました。1回のカウンセリングに持てる力を出し切ったことで、カウンセラーも達成感を味わえます。
数か月後、再び同じクライアントが不安を抱えてやってきました。前回と同じようにイメージワークをして、クライアントは満足して帰っていく。クライアントは、不安がたまったときにカウンセリングを活用する。それを繰り返していました。
これだと、売上が安定しません。何回かクライアントが来てくれるのはいい方で、1回だけでカウンセリングを終えるケースも多々あります。
これは、私がカウンセリングを始めた当初に直面した問題です。以前の私だけではなく、こういった悩みを抱えているカウンセラーはとても多いようです。
なぜ、このような事態になってしまうのでしょうか?
カウンセリングスクールでは、心理療法のスキルは教えてくれるのですが、開業カウンセラーとして安定して売上を上げるスキルに関しては教えてもらえないからです。
カウンセリングスクールで習った通りに、クライアントが話すことを否定することなく聴いて、その悩みを解決するためにその場で全力を尽くす。
一見何も問題がないようにも思えますが、前述したように、このままでは売上が安定しません。開業カウンセラーは、事業を運営していくことが不可能になってしまいます。
一生懸命さはわかります。しかし、経営的にはマイナスです。それだけではなく、クライアントにとっても大きなマイナスになるということを知っておかなければいけません。
表面的な悩みを解決しても、もっと深いところにある根本的な悩みを解決していないので、また同じような問題が降りかかったときに、クライアントは何度もカウンセラーに助けを求めないといけなくなるのです。
これを繰り返してしまうと、クライアントはカウンセラーに対して依存傾向を深めていくことになります。
カウンセリングは「クライアントの悩みを解決してあげる」ことをしてはいけないのです。
そうではなくて、「クライアント自身が適切に悩みに対応できる人になる」ためのサポートをするのです。
例えば、対人関係のつまづきから引きこもり生活に入ってしまった人がいます。
「キッカケさえあれば、社会復帰できそうなんですけど・・・」
キッカケを与えてほしいというのがクライアントの望みです。その望みにそのまま応えようとすると、不安を減らしたり、勇気を与えたり、社会復帰のための第一歩を踏み出す提案をしたりと懸命にカウンセリングを行うわけです。
しかし、ひょっとしたら対人関係の問題が残っている可能性があります。対人関係につまづいた出来事を知ることで、クライアントにとって不自由な物事の捉え方が見つかるかもしれません。
表面上の悩みだけではなく、より深く掘り下げた悩みの改善までケアしていくことも考えておくべきです。そうなると、1回のカウンセリングで完結するのではなく、しかるべき回数が必要になるはずです。
カウンセリングはその場しのぎの相談会ではありません。クライアントの人生全体を考えた上で、最適な手法を選択して、トータルでケアしていく必要があります。
そして、カウンセリングが終了した後もクライアントがどんどん成長していけるようにカウンセリングの回数をあらかじめ組み立てておく必要があるのです。
すでにあなたはクライアントの人生が変わるだけの手法を身につけているはずです。
クライアントの今後の人生が変わるためのカウンセリング商品を組み立てることで、自信を持って回数と料金を提示できるのです。
あなたは、その場限りではなく、クライアントの今後の人生を考えてカウンセリングを行っていますか?
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