ダイエットと組織育成!?…共通する「停滞期」のカベ
「入社3年以上の社員には、毎年管理者の研修に行かせているのですが、帰ってきた当日は勢いも良く張り切っていますが、3日もするとすっかり元に戻ってしまって。なかなか社内のレベルは上がりませんね。」
先日ご相談にいらっしゃった社長様のお話しです。社員30数名の小規模な会社ですが、社員教育にはとても熱心で、毎年経費を掛け様々な研修に参加させていらっしゃるそうです。しかし、なかなかその効果が目に見えずいつになったらその成果を発揮してくれるのやら…ということのようです。
私も研修講師として、全国から集まる経営者や社員の方向けに研修をさせていただいた経験が何度もありますが、確かに社外で受ける研修というのは非日常の空気も手伝って、特に日頃は上司のOJTでしか学ぶ機会が無い社員にとって多くの気づきや刺激を持ち帰る場となるようです。また、内容によっては具体的なノウハウを教えてくださる先生もいて、翌日から実践で使える良さもあります。
大いにやる気になった社員は翌日ハツラツとした表情で、
「おはようございます!昨日は研修に参加させていただきありがとうございました!」
と出社するのですが、周りの社員(特に上司)の冷めたひと言でストンと現実の世界に戻ってしまうのです。
「おお、おはよう。さぞかしレベルアップして帰ってきたんだろうね。ぜひ数字と態度で示してもらいたいものだね。」
…確かにおっしゃる通りです。研修の間もお給料をもらっているわけですから、成果を求められるのは当然なのですが、ここで私がいつも思うことは、社員のレベルが低いと言っている社長や上司に、実はその能力を活かせるだけの力量がないんじゃないの?ということです。早い結果を求めることは数字に責任を持つ立場の方にとっては当然のことですが、何事もそう順調に行けば誰も苦労はしないワケで、思い通りに行かないのが人の育成です。
どこが変化し、何に気づいたのか、そして今日から何をするのか?を明確にさせ、そしてそれを継続できる環境を整えることが重要で、これこそが上司の役割であり経営者が考えるべきところです。どんなに素晴らしいコミットも、それを活かす環境がなければ残念ながらやはり今年も三日坊主です。
過去に、真剣にダイエットに取り組んだことがありますが、目標を決め、グッズを揃え、痩せたら着よう!と素敵なワンピースを購入し、あとは続けるだけ…と何度も挑戦するのですが、最初の3日くらいは徐々に体重が減って、やっている本人もとても楽しいのですが、そのうちに同じことをやっても急に減らなくなる時期がきます。いわゆる「停滞期」というやつです。
ここまでお話しすると、多くの方の頭の中に、
「人間は変化を嫌う生き物だからね。一気に痩せようなんてムリなんだよ。時間をかけて続けなきゃね。」
という言葉が思い浮かんだのではないでしょうか。
そこで成功するにはどうしたら良いですか?とダイエットの先生に聞くと、「私はダイエットをしています!」と宣言する事、そしてもう一つ大切なことは、応援してくれる仲間をつくること、なのだそうです。
「少し痩せたんじゃない?頑張ってるね!次はこうしたらどうかしら?」と、常に気に掛け、声を掛けてくれる仲間です。手とり足とり教えてあげる必要は無いんです。ただ、くじけそうになっていないか?間違った方向に進んでいないか?と気に掛けて声を掛けてあげることなのだそうです。
私が企業にご指導をさせていただく中で、目先のトークやツールなどの手法ではなく「組織づくり」に重きを置いているのはこのためです。一時的にデキる営業マンを育てて目先の売上を上げることができても、そのノウハウを社内に蓄積し、長く継続していくためには、強固な組織と継続できる仕組みがなければなりません。
「前よりもできるようになったね。お客様からこんなお褒めの言葉をいただいたよ。ここを改善したらどうかな。」と、検証・分析し、次につなげるための仕組みです。
経営者の皆さま。御社の組織には、社員が諦めずにカベを乗り越え、ノウハウを社内に蓄積させるための伴走者はいますか?そしてその重要性に気付いていますか?
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