事業計画は「契約書」を押す瞬間から逆算して企てなさい
「これまでの経営スタイルを見直して、次なる事業の柱を立てようと思っているのですが…」
弊社セミナーにお越しになる方の9割以上の方は、既存事業の先を案じて、次なる成長分野に躍り出よう!としている企業です。
その中でも、この1年間で特に多いのが、下請けや部品メーカーなどが特定の取引先に依存しない経営をしたい!というものでした。
様々なプロジェクトに携わるなか、あるクライアントさんが話をしてくれたことが将来の明暗を分ける重要な意思決定になる示唆が含まれていたので、お話したいと思います。
企業が次なる成長ステージを描くときには、2つの方策を考えるのが一般的です。
- どんな新商品を開発すれば、次なる成長ステージに乗れるのか?
- 売上利益が倍増するような新しい販路開拓はできないのか?
この二者択一をしなければいけないのですが、某企業さんでは、あるコンサルタントの助言で「新商品」を作って、「新しい販路開拓」に躍り出てしまっていたのです。
これは極めて成功確率の低いアプローチです。
具体的な事例があった方がわかりやすいので、ある部品メーカーさんが高収益企業へと移り変わるための道筋をデザインするケースを見てみましょう。
部品メーカーは、取引先から値段を叩かれ、収益確保が厳しい現実に晒されています。
利益率が低いために、十分な内部留保もありません。
つまり、貯金が少ないなかで、次なる成長分野を探さなくはならないのです。
本来であれば、商品に名前を付けて、自分で定価をつけて販売するのがベストです。
つまり新商品開発です。
原価を積み上げて、見積もりをして、人件費を薄くのせるような「価格」ではなく、商品をつくった企画料も含めた「定価」のある商品が売れれば、利益率は改善されます。
しかし、新商品開発は、営業センスのある企画者がいないと大抵はこけてしまいます。
実際、独りよがりの商品をつくってしまい商談に行っても全く無反応…という悲しい現実を突きつけられた話をこれまで幾度となく聞いてきました。
「当社は営業力がないから…」と肩を落としていますが、そもそも論として売れる商品に仕上がっていません。
売れる商品とは、商談の場を鮮明にイメージしながら、注文書を押す瞬間から逆算して企画しないといけないのです。
新しい販路で、この注文書を押すイメージが湧くでしょうか?
多くの人は、イメージできないのではないでしょうか?
ただでさえ難しい新商品開発なのに、新しく販路であれば、成功確率がガクンと落ちるのは、目に見えてわかることです。
それであれば、今の取引先に新商品を提案するか、既存商品を新しい販路開拓に売る方が、まだ確率は高いです。
自社の提供する機能・性能が、相手にとってどんな価値に転換されるのか…。
この視点は、売上をあげるためには、欠かせない視点です。
新しく事業を企て、会社を次なるステージに持っていく際、往々にして「我が社のこの技術を使って、こんな商品をつくれば売れるはずだ!」と独りよがりになりがありです。
この地獄につながる発想に陥らないためにも、すべて買い手の心理から逆算することが大切なのです。
もっと具体的にいうと、契約書を押すから逆算して、商談でどう口説くか、アプローチでどう注意喚起を促すか…と逆算して全てを企てるのです。
御社は、次なる成長分野を探るさい、契約書を押す瞬間から全てを逆算して事業計画を企てていますでしょうか?
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