つまらない自己紹介をさせていませんか?
職業柄、毎日多くの経営者や様々な営業マンと名刺交換をする機会があります。お客様のところへ訪問したり、その方のご紹介で歩いたり、時には同行営業をすることもあります。また、毎月3回以上は経営者が集まる会にも参加しますし、私自身もお客として色々なセールスを受ける機会があるからです。その度によく思うのは、
「この人、すごくもったいないな~」
ということです。何がもったいないかと申しますと、名刺交換の後、簡単な自己紹介と会社紹介(セールスの場合は商品説明)をした後に会話が全く弾まないことです。一方的なトークの後に少しの沈黙が続き、
「それではまたよろしくお願いいたします」
とその場を立ち去る方が何と多いことでしょうか。
経営者の場合、ご自身の会社や事業に関して、その歴史や周辺事情についてのお話しは得意とされるところでしょうが、営業マンは?と言えば、日頃訓練している一般的な会社説明や自己紹介は得意でも、相手の立場に合わせた会話が苦手だったり話題に乏しかったりするケースが非常に多く見られます。
もしも皆さまの社員がこのような営業マンだったとしたらいかがでしょうか?
わざわざアポイントを取って訪問した先の担当部長と会話が弾まない…
時間と経費を使って会合に参加させても名刺交換しかしてこない…
せっかくのプレゼンテーションの機会も活かすことができず何の印象にも残らない…
これは、営業マンの“話し好き”や“社交的である”という性格によるところもあるかもしれませんが、営業の現場というのは、たとえ10分であろうとそれがたった3分であったとしても、互いに真剣そのもの、一発勝負!「有る」か「無い」かの世界です。やっとの思いでその土俵に立てたにも関わらず、相手との会話も弾まない、また会いたいとも思ってもらえない、多くの営業マンは相手の印象にすら残らないのです。
多額の経費を掛けて広告やDMをうつのも結構。
業者に依頼して見込を見つけてもらうのも良いでしょう。
また、見込客が多く集まりそうな場に出掛けて行くのも一つかもしれません。
しかし、そうして見つけた見込客がようやっと目の前に来てくれた時に直接交渉する営業マンに大切なことは、相手をその気にさせるだけの準備がしてあるかどうかです。
ひとくちに営業マンと言っても、話すのが得意な人もいれば、苦手な人もいます。先日お会いしたある営業マンは、声が小さく伏し目がちで、こちらが話しかけないと自分から話し出すタイプではありませんでした。「これでよく営業が務まるな~」と感心して見ていると、彼が出してきた名刺がちょっと変わったものでした。
「お話しを聞かせてください」
と書いたその名刺を差し出すと、「私は話しがヘタなので、あなたのお話しを聞かせてください」と言いました。長らく営業の現場を見ていますが、こんな人に出会ったのは初めてです。思わずクスリと笑うと、彼もニッコリ!そこから少し空気が柔らかくなり、話しベタな彼もポツリポツリと自分のことを話し出したのです。
聞くと、人との付合いが苦手な彼を心配した社長が、「うまく話そうと思わなくても良い。でも、しっかりと相手の話を聞いてこい!」と言って作ってくれた名刺なのだそうです。思わず私は、そんなアイディアを出したその社長様にぜひお会いしたいと思いました。…これで、営業マンとしての彼の役割は立派に果たしたワケで、まんまと引っ掛かってしまいました。
営業の現場は、トークに磨きを掛け、ツールを工夫し、いかに相手を説得するか?と言った議論が繰り返されるものですが、本当に大切なことは“相手がどう感じてくれるか”ということです。こちらの伝えたいことを伝えるのではなく、いかに良い人間関係を瞬時に構築できるか?ということなのです。売上数字と商品の特徴ばかりに気を取られていると、大切なものを見失ってしまいがちなのですが、会社の売り、社員の強み、未来への高い志…このようなことを日頃から考え常に社員と話し合って行かなければ、本当の意味で“強み”を発揮することはできません。
経営者の皆さま。社内にある“人財”の価値、大切に活かしていますか?
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