「あなただから」と言われるためには?
「営業は、“商品”じゃなくて“自分”を売るんだ!と繰り返し部下に教えるんだが、なかなかそれが伝わらなくて…」
先日ご相談を受けた社長様の現在のお悩みです。その気持ち、とてもよく分かります。営業で成果を上げて来られた方の多くがこのようにおっしゃいますし、私自身もそのような指導をしていた経験がありますから。
商品のメリットや他社より安い価格のアピールばかりしていては本当の意味で選んでもらうことができないので、「あなただから」と言ってもらえる営業マンになれ!ということなのだと思います。しかし言われる側の立場になってみるとこれほど分かり辛い指導はありません。いったい自分の何を売れば「あなただから」につながるのでしょうか?
社員は、営業部に配属されると、まず会社と商品を覚えるための研修を受けますが、実際に現場に出てみて困るのが、「話しを聞いてもらえないこと」です。過去の保険営業時代にも、多くの研修は「お客様が話を聞いてくれる前提」のものが多く、
「目の前に話しを聞いてくれるお客様さえいてくれればいくらでもうまく話す自信はあるが、そこまで行かないから苦労しているんだよな~」
というのが営業マンの共通の感想でした。特に競合が多い業界では、見込先の担当者も多くの提案を受けているため、月並みな切り口で当たり前に訪問しても話しを聞いてもらえないケースがほとんどです。そしてその時に大切なのが「あなただから」…なのだと言いたいところでしょうが、実は、それは同時に「あなたの会社だから」を問われている瞬間であるということを経営者は自覚しなければなりません。
商品を提案し、当面のサポートを行ってくれるのは確かに担当営業マンですが、5年後、10年後を考えた時、営業マンは代わってしまっていても会社は変わらずそこに在り続けなければなりません。顧客の利益と成長のお手伝いを永く続けるためには、自らが安定した経営基盤を持ち、素材を活かせる組織でなければならないのです。
つまり、「あなただから」の一番は会社であり、その信用というブランドと、変わらない販売姿勢があってこそ顧客に安心を提供でき、そこで働く営業マンの価値も活きてくるのです。
経営者の皆さま、“企業ブランディング”に必要な3要素の一つ、「売る側の価値」、いかに磨いていますか?永くお付合いできる顧客は、“何を”買うか?よりも、“誰から”買うか?を見ていますよ。
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