数字を読む ―75兆円
この数字は、2020 年度に達すると予測されているクレジットカードの取扱高である。
下図は、矢野経済研究所が発表したもので、2014 年度の約46 兆円という市場規模は、東京オリンピックが開催される年には、1.6倍の75 兆円に拡大すると推計されている。
このように右肩上がりに推移している要因は、ネット通販のクレジットカードショッ
ピング(EC) の急増に加え、公共料金分野をはじめ、学費や家賃の支払い、冠婚葬祭などの生活関連分野での利用機会の拡がりが寄与している。
今後は、スマホの普及を背景に、それに伴う各種システムの進化・簡素化により、加盟店がクレジットカードを導入しやすい環境が整備されて、今までクレジットカード決済サービスを導入できなかった小規模事業者や飲食店、サービス店舗などにも取り扱いが拡大する見込みだ。
さらにクレジットカード各社による優良顧客の囲い込み、メインカード化への施策の展開によって、クレジットカード会員の利用メリットが高まり、年率10%のスピードでマーケットが拡大していく様相である。
また一方で、政府は2020 年の東京オリンピックに向けて、訪日外国人観光客へ
の利便性向上のために、キャッシュレス化を推進しており、訪日外国人のカード決済
需要も拡大することは確実だ。
加えて、オムニチャネルの進展も、クレジットカード利用を促進させる大きな要因
である。昨年11 月1日、セブン&アイホールディングスがグループの通販サイトを
統合し、リアル店舗との連携を強化した通販サイト「omni7(オムニセブン)」をグラ
ンドオープンさせたのがその代表例だ。3 年後には1 兆円の売上を目指しており、そ
の大半がセブンカード・プラスなどのクレジットカート決済となるだろう。
日本では、まだ現金払いが主流で、他国に比べるとカード決済が少ないものの、①優良カード会員の囲い込みに向けた取り組み、②ポイントプログラムを活用したショッピング事業強化、③スマホ決済ソリューションの拡大、④モバイル決済サービスの普及といった各業界の取り組みが、キャッシュレス化をますます加速させていくはずである。
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