万策尽きた・・・と思った時にやるべきこと
「最近は、異業種間のコラボや共同開発といった言葉がもてはやされていますが、うちの業界もやはり考えて行くべきでしょうか?もう、餅は餅屋の時代では無いなんて聞くもんですからね」
先日、弊社のコンサルティングルームにお越しいただいた経営者の方からのご相談です。ものづくり一筋でやって来られた会社で、大手企業との取引実績もありその品質は“お墨付き”をいただいており、また、常に社内の効率化や技術向上に力を入れ、新規取引先の開拓にもとても積極的な会社です。
しかし、出来うる限りの策を尽くしても、中小製造業を飲み込む大きな流れには逆らえず、毎月毎年の売上を確保するのがやっとの状態…休みの日でも心から安心してゆったりできる時間は無いのだそうです。
確かに、経営者として365日24時間1分1秒たりとも会社のことが頭から離れる時は無いと感じる方も多いと思いますが、それは先行きの不安や課題対策ばかりに限ったことではなく、
「これは目からウロコだな~!どうやったらこんなアイディアに行き着くのかな?!」
「この手法をわが社に取り込むことができたら画期的に楽になるな~!」
などと言った、これまでの固定概念をいかに崩し柔らかな新しい発想を持てるか?という自分自身への問いかけも含め四六時中様々な事を考えているものです・・・私はそうしています。それは何も特別な場所や時間ばかりでなく、例えば多くの人とお酒を酌み交わす飲み会の席や、電車の中吊り広告、もしかしたら子どものPTA活動の中にだってそのヒントは転がっているものなのです。
これまでのやり方の延長線上でベストを尽くし、時間と工数の許す限り最大限の努力をしても抜け出せない限界を感じた時に中小企業がまず考えるべきは、力のある他社の技術力やマーケットを活用したり、各々の不得意分野を補完したりする “コラボ”や“共同開発”ではなく、その前に大切な、自社内でできる“他部署とのコラボ”や“異なる技術者同士の共同開発”だと思っています。
よく営業指導をさせていただく企業さんで感じることは、「会社の強み分析なら経営陣が・・・」「営業ツールの見直しなら営業部長が・・・」「ホームページやDM発送などのとりまとめは管理部が・・・」と、100名に満たない会社でも分業化されていて、まるで他社の社員と接するような他人行儀な空気が流れているなあということです。
全国に数千人規模の複数拠点を持つ大企業なら仕方の無いことかもしれませんが、1つ屋根の下に働く同志だからこそできる“力ある人の技術力の共有や各々の不得意分野を補完する取り組み”に注力すべきなのです。
社内にある本当の強みや本物の価値を最大限に活かすこと・・・これができてこそ初めて「自社の強み」を語ることができ、その強みで戦う準備ができるのです。その準備無しに安易に他社との“コラボや共同で何か・・・”という発想に走ると、ただ相手に依存したり互いに責任のなすりあいという結果を招いてしまいます。
経営者の皆さま。新しい年をあと数日後に控え、
自分に何ができるのか?
他社に負けない強みは何なのか?
なぜあなたの会社なのか?
・・・この年末年始は、ぜひもう一度基本に立ち返ってトコトン向き合ってみませんか?きっと来る年には新しい世界と大きな可能性へつながる扉が待っていますよ。
良いお年をお迎えください。
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