断られる勇気
「申し訳ございません。ただいまお届けにあがりますので、今しばらくお待ち下さい」と電話口でスタッフが謝っています。
残念ながら、このようなことが超繁忙期の超繁忙時間帯には遅配が起きてしまうことがあります。
果たして、配達の遅延を防ぐことは出来ないのでしょうか?
遅配が起きてしまうときには、製造(メイク)または配達(デリバリー)のどちらか、また両方に何らかの原因があります。
そして、繁忙期には、もう1つ遅配を起こす原因があります。
それは、予約や注文の取りすぎです。
調理時間、配達時間とスタッフ数、店舗(厨房)面積から計算すれば、1時間にどれだけ予約や注文が受けられるかはわかります。その範囲内であれば、基本的には遅配は起こらないはずです。
それでも、商売人としては注文の電話が入るとうれしいので、この時間帯にはこれ以上の注文をうけると遅配をするかも知れないとわかっていながら、「何とかなるだろう」とつい安請け合いして注文をうけてしまいます。
それが遅配の引き金を引くことになります。
ところが、たった1件の遅配が起きたために、その後も延々と遅配が続いてしまいます。繁忙期には注文が切れ目なく続きますから、たった1件でもその後のオペレーションに大きく影響をします。
はじめは30分の遅配だったのが、気付けば1時間、1時間半と遅延時間が延びていきます。そして、大幅に遅延をすると大切なお客様を失ってしまいます。
コンサルにはいる前のあるお店でのことでした。休憩も取れないくらい忙しい年末年始に起きたことです。「7時に配達してもらう予定で予約したのに、9時過ぎても届かないんです」と催促の電話がありました。2時間以上遅れてお届けしたところ、お客様はカンカンに怒っており、玄関のドアが開くこともなくキャンセルされました。
その後店長が謝罪に行ったのですが、このお客様からはその後3年間は注文がありませんでした。
お客様に対して出来ない約束をするから、遅配が起きるのです。「ただいま混み合っておりまして、お届けまでに3時間程かかりますが、よろしいでしょうか?」と確実に配達できる時間をそのままお客様には伝えればいいのです。
例え、お客様が「それなら結構です」と断られても店の評価は下がりません。後日、そのお客様からの注文は入ります。
しかし、注文を受けた後の大幅な遅配は、店の信用を大きく落とします。その後、お客様からの注文は入らず、お客様も失ってしまうことになります。
繁忙期には、お客様から「断られる勇気」も必要なのです。
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