「早く成功したい!」想いに潜むワナ
開業カウンセラー 矢場田勲 SPECIAL
SPECIAL
開業カウンセラーコンサルタント
有限会社ライフビジョン
代表 矢場田勲
開業カウンセラーに特化して指導する、専門コンサルタント。自らカウンセラービジネスを立ち上げ、軌道に乗せた経緯から、カウンセラーとして独立、活躍していくために最も重要なビジネス的視点と実務アドバイスを惜しみなく提供。稼げないカウンセラーが多い中、救世主的存在。
「早く成功したいんです!」
「すぐにでも成功者の仲間入りして、多くの人に認められたいです!」
このように言う開業カウンセラーがいます。向上心があり逞しい感じがするので、一見何も問題がなさそうですが、この言葉の裏側にある心理に注目したいところです。
「成功したい」「認められたい」という想いが強すぎると、今現在は「成功していない」「認められていない」という暗示が心の奥底に浸透していきます。
「自分は成功していない」「他人に認められていない」ことを無意識の内に感じているので、ますます「成功するために、あれもこれもやらなければ」と気持ちばかり焦り、「でも、できない・・・」という思いに駆られるのです。
そして、「他の人たちは上手くいっている(ように見える)が、できない自分は情けない」と自分自身を攻撃し苦しくなっていきます。一刻も早くこの苦しい状況から抜け出したくなり、「なんとしても早く成功したい!」とさらに強固な想いになるわけです。
こういったことは、カウンセリングの現場で度々遭遇します。
不安に囚われていて、適切な行動がとれず苦しんでいるクライアントさんがいるとします。
「早く不安を減らしたい」→「いろいろ試したが不安が一向に減らない」→「他の人たちは不安もなく楽しく過ごしているのに、不安が一向に減らない自分は情けない」→「不安が辛すぎてもう耐えられない」→「なんとかして早く不安を減らしたい」
このような悪循環から抜け出せなくなっています。
先ほどの開業カウンセラーが「早く成功したい!」と願うのと悪循環の構造は全く同じです。悪循環の断ち切り方はいくつかありますが、今回は視点を変えるための思考法をお伝えしていきます。
「早く成功したい」「早く不安をなくしたい」という焦りを伴う想いの中には、他人と比べる思考があります。
自転車でたとえると、成功している人、楽しく過ごしている人は、4速のギアで走っているようなものです。すでにスピードに乗っていて、ペダルを一漕ぎするとグイグイ進んでいきます。
一方で焦りが強い人は、立ち止まっている自分と4速で走っている成功者とを比べてしまいます。
「早く追いつきたい」「あの人みたいになりたい」という想いが強すぎるので、自転車が止まっている状態なのに、いきなり4速にギアを入れてしまうのです。
ペダルが重いのでなかなか思うように漕げず、軌道に乗る前に力尽きてしまうでしょう。このようにロケットスタートをする人は、どこかの時点で一気に急降下してしまうのです。
「そんなバカなことをする人はいない」とお思いかもしれません。もちろん現実的には、止まった状態の自転車を4速から漕ぎ始める人はいないでしょう。
しかし、焦ってゆとりが持てない状況に置かれると、これと同じようなことをして力尽き、「上手くいかない」「他の人と比べて自分は情けない」と自分を責めているのです。
馬鹿げたことをしている状態であることに、なんとしても本人に気づいてもらうことが大切です。
どんな成功者でも最初から達人ではありません。必ず1速からスタートしているのです。鳴らし運転から開始してある程度スピードが出たら2速に、さらにスピードが出たら3速、4速にシフトチェンジしていきます。
図で示しているような実際の成功の軌跡を描くわけです。
ゆっくりスタートした方が、かえって後々加速度がつきます。自転車で考えると当たり前のことなのに、悪循環に深く入ってしまうと気づけなくなってしまうのです。
カウンセリングでは、身近な別のものに例えることでクライアントは納得してくれやすくなります。
執着を手放せるようになると落ち着きを取り戻し、悪循環から抜け出せます。
目標は明確にあるけど、目標(結果)には執着していない。心の調和がとれているこの状態が最も成功しやすい心の状態なのです。
あなたは焦ってロケットスタートするタイプですか?
それとも1速から徐々に加速していくタイプですか?
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