新市場開拓を成功させる発想法_Part1
「当社の従業員は、まったくモノゴトを考えていません。 この商品を他の市場に売り込もうと“営業を設計する技術”を読ませまたのですが……全然よいアイディアが出てこないのです」
先日、新市場開拓プロジェクトが始まったばかりの社長さんと、酒席を共にした際、ふとこぼされた一言です。
これは珍しいことではなく、多くの社長さんが同じように感じている課題です。
「なぜ従業員から優れたアイディアが出てこないのか?」
以前は、個人の資質の問題なのでは?と感じていました。
しかし、人工知能に興味を抱き、関連図書を読みあさっているうちに、ある明快な理由(仮説)が浮かび上がってきました。
そもそも、経営者と従業員とでは、思考回路が全く違います。
能力の差を申し上げているのではありません。
現実を捉える「視点」の問題です。
経営者は、「顧客」「競合」「取引先」などのステイクホルダーや社会情勢などの外部環境を感じ取りながら、自社の立ち位置を掌握しています。
また、従業員の働きや財務状態などを頭に入れた状態で、未来を感じ取り、自社の理想像…つまりビジョンを描いています。
明確な理想像の場合もあるし、なんとなく「こうしなければ…」という漠然とした理想像もあります。
ところが従業員には、そこまでの情報量は掌握できません。
これは仕方のないことです。
従業員に求められていることは、“今の成果”をあげることです。
今の成果をあげるための情報と、新しく市場開拓をするための情報とでは、大きな隔たりがあります。
従って「現状認識」や「問題意識」にギャップが生まれてしまうのは、ある意味当然のことなのです。
ただ、冒頭にも申し上げた通り、「人工知能は人間を超えるのかー人工知能を知ることは、人間を知ることだー」(松尾 豊氏著、KADOKAWA)を拝読し、それだけではない「仮説」が浮かんできました。
あくまでも私がビジネスの視点で同書を読んだときの「整理、分類、体系化」であり、私見が入り込んでいるので、同書の主旨とは異なる事を予めご了承の頂いた上で聞いてください。
例えば、今回のテーマのように「ある既存商品を他市場に横展開して新市場開拓を成功させる!」という計画を企てる必要があったとします。
この時に必要な思考回路は…
- 既存商品の特徴を抽出すること
- ある特徴を抽象化すること
- 抽象化した特徴を無関係な世界に投げ込むこと
- 他要素との組み合わせや他分野での成功モデルの抽出
- 自社テーマへの具現化