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親子経営 繁盛と繁栄の秘策 息子がしてはならない7つのこと⑤

プレゼンテーション1 己に甘く他人に厳しく 後継者が父親の会社に入ってまず悩むことは社員、なかでも古くからいる古参社員との人間関係です。どのようなスタンスで関係性を構築するべきか大いに悩むところです。 またその後、後継者がリーダーとなりやがて父親に代わり経営者となったとき、どう役員、社員と向き合うかどのような姿勢で彼らとの関係性がどうあればいいのかが最も難しく思われます。 私自身かつて事業経営者であり、子会社を含め約100人の社員を有するグループ会社を経営していました。今思い返すと経営者としての私の在り方、リーダーとしての立ち方に甘さがあったと言わざる負えません。 私の経営に対する考えすべてがおおようであり、社員に対してもおおような対応をしていました。そしてなによりも自分にたいして最もおおようであったと今更ながら反省しているところです。 論語から一節、「仲弓、子桑伯子(しそうはくし)を問う。子曰わく、可なり、簡なり。仲弓日わく、敬に居て簡を行い、以て其の民に臨まば、亦可ならずや。簡に居て簡を行うは、乃ち大簡なること無からんや。子曰わく、雍(よう)の言然り。」 少し長いですが私なりの読み解きをしますと、「仲弓とういう弟子が孔子に子桑伯子という政治家の人物像を尋ねました。孔子は、彼は可もなく不可もなくといったところで何事にもゆったりとしておおような人物だね、と言いました。 それに対し仲弓は、子桑伯子自身が慎ましく控えめであって他人と接するにおおようであるなら結構ですが、彼自身がおおようで大ざっぱでありながら他人に対してもおおようで大まかであるというのはいかがなものでしょう、と言いました。それに対し孔子は、仲弓お前の言う通りだよ。」と、いったところでしょうか。 言うならばこの子桑伯子という人物はまさにかつての私と同じであったということです。自分に対しておおよう、おおまかであると同時に他人に対してもおおようで大まかだとなります。 企業の経営者に例えてみるなら、経営者が自分に甘く、社員にも甘いという状態のことに他なりません。私がかつてこのタイプの経営者であったことは否めません。ではどのようなタイプの経営者が最も優れているのでしょうか。 まず最下等である第四等から言いますと経営者が自分に甘く、社員に厳しいというタイプです。このタイプの社長は結構見かけますが、社員からすると最も嫌な経営者だと言えます。この社長の下でだけは働きたくないというタイプです。 次に第三等は経営者が自分に甘く、社員に甘いというものです。これが私のかつての姿です。経営者としては恥ずかしい限りです。自分自身に甘いものですから社員に厳しいことが言えないのにも関わらず、自分は社員に寛容、寛大な社長だと思い込んでいます。 そして第二等は経営者が自分に厳しく、社員に厳しいというタイプです。このタイプの社長はとてもまじめでストイックなほどに何事にも徹底しています。社員からすると少しは弛めるところがあって欲しいと思うところです。 最後に第一等ですが、経営者が自分に厳しく、社員に甘いというタイプです。甘いという言葉では語弊があるやもしれませんので寛容、寛大ととらえてください。まさにこれは社員からすれば理想の上司であり経営者だと言えます。 後継者が父親に代わり社長となったとき、社員との関係性を考えるならどのタイプの経営者であるべきか自ずと答えが出ます。後継者が己を厳しく律することからすべてが始まります。