第10話 コンサルだけではマネジメントの正常化ができない本当の理由
「ソノダさんに頼めば、ブラック社員に対処していただけると思っています。お願いします・・・」
ー顧問先の社長の言葉です。私を頼りにしていただくことは、とてもありがたいのですが、諸手を挙げて、社長の想いを受け止めることもできないのです。
なぜなら、”現場のマネジメントの正常化だけをコンサルタント任せにしたい”という社長の想いが見え隠れするからです。
私たちコンサルタントの使命は、顧問先にノウハウや仕組みを導入し、契約終了後でも、持続的かつ自律的に課題解決ができるようにすることです。社長の言葉に甘えて、仕組みを導入できず(せず)、コンサルタント自身がマネジメント機能の一部となって、直接仕事に手を出すことはあってはなりません。
それでは、社長は何故、マネジメントの正常化の部分だけをコンサルタント任せにしたいと思うのでしょうか。理由は簡単です。 社長自身が、事業の方向性について大きな不安を抱えているのに、その不安に正面から向き合うことなく、マネジメントの部分だけを、外部の力を借りて対処療法的に解決しようとするからです。 この理由について、ステップを踏んで見ていきましょう。- 会社が成長し、規模拡大など、大きなターニングポイントに差し掛かっている時に、これからの事業の方向性について、経営者同士の意見が対立することがあります。対立の原因は様々です。
- 社長は、これ以上の対立を避けようとして、事業の方向性をしっかりと論議せず、これまでの成功体験に頼って事業運営を続けようとします。一人経営者であっても、事業の方向性を考えなければ、同じことが起きます。
- 事業の方向性が不明瞭であれば、人材マネジメント(社員の採用→育成→配置→評価→退職)の方向性も自ずと不明瞭なります。会社をバスに例えると、乗せてはいけないブラック社員を乗せてしまったり、成長意欲の高いプラチナ社員の能力を開花させられず、バスから降ろしてしまったりするようになります。こうしたことがモグラ叩きのように、頻繁に起こるようになります。
- こうして、社長の人材マネジメントが混乱してくると、会社に不安を抱く社員が出てきて、自身の身を守ることに必死になり、現場がタコツボ化し、協力し合わない組織風土になっていきます。
- そして、いよいよブラック社員によって、社長のマネジメントが効いていない現場が乗っ取られ、業務の連鎖が断ち切られ、品質や納期にも影響が出始めてきます。
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