来年の舵取りを考える
「いよいよ12月に入りましたねえ。今年1年を振り返りながら、良い締めくくりを迎えたいものですね。来年はいったいどんな年になるんでしょうか?」
師走に入り、このような会話が巷に盛んに飛び交う時期になりましたね。私も先月最後の日曜日は、今年最初の忘年会に参加してきました。いつもお世話になっている企業様の毎年恒例の一大イベントで、私が最も楽しみにしている会の一つです。
二部構成からなるこの忘年会の第一部では、社員さん達が自ら考えた内容で各部署のプレゼンテーションを披露してくださいます。年々グレードアップしていく内容に感心させられる一方で、その順位を決める審査や総評を任される私の責任は重大なのですが、毎回笑いと感動に包まれ、心暖まる素敵な時間となっています。
そんな席でも必ず話題に上るのは、今年の振り返りと来年の抱負です。
企業経営者にとってもこの時期は、今年一年掛けてやってきた一つ一つの物事に対し、その良し悪しに関わらず何かしらの結果が出ている頃でしょうし、またそれが正しかったどうかの判断を迫られる時期でもあります。
短期的に結果が出るものもあれば、3年・5年また10年と長い時間軸で考えなければならないものもあり、ひとくちに正解かどうかの判断は難しいという考え方もありますが、私は長期のスパンで考える事柄でも、基本的にはきちんと動いていれば何かしらの判断は早いウチに出ると思っています。
新商品の開発や新規分野における顧客開拓、新しい人材の投入や新規事業の立ち上げなどこれまでとは違った動きをする時に、
「これは新しい取り組みなので長期スパンで考えています」
という言葉を良く耳にします。確かにやってみないとわからない、ビジネスとは必ず相手がありその状況や環境によって変化するだろう、だからじっくり時間を掛けて…ということなのでしょうが、私達にとって、これまで長らく続けてきたことを今までの経験に基づいて繰り返し行う仕事ほどラクなものはなく、新たな分野、新たな商品、新たな顧客に向かう時にはこれまでの数倍・数十倍の労力が必要となりますが、その分、普段はあまり必要の無い「集中力」や「勘」なども同時に働きます。
例えば、自社の営業部隊がこれまでの顧客開拓に加えて新たな分野に裾野を広げようと思えば、そこで戦えるだけの知識や情報・スキル・人材が必要になりますし、その分野で通用するだけの力量に育てるにはそれなりの時間とコストは掛かりますが、そこで必要となる基本的なスキルはそうそう大きく変わるものではなく、逆に新たな発見やこれまで感じたことのない空気を敏感に感じとることができます。その分野での伸びしろや可能性については、むしろ通常よりも早い段階で判断できる場合があります。
しかしそれらを一括りにして「新しいことだから長いスパンで…」と考える経営者の言葉が、もしかすると新しいことへの取り組みに大きな壁を作り、現場を勘違いさせ、ついつい出るはずの結果を先延ばしにしてしまっているのかもしれません。
これは新たな試みだから当面は結果が出なくても仕方無い…
これは今まで経験の無い業界だからまずは知るところから…
長期の計画だから今年はまだまだ試験段階だし失敗しても…
営業組織が軟弱だったり、手法が営業マン任せだったりして、いつもその場しのぎの営業を行っていると新しいことへの挑戦の壁は益々高くなる一方です。
経営者だけでなく現場の営業マンにとっても、新しいことへの取り組みは心身ともに負担が掛かり特別大変な事と捉えてしまいがちですが、実は営業は基本的な形ができていると応用することはとても簡単なのです。新規開拓に苦しむほとんどの会社は営業の基本が整っていないところが多いのです。
経営者の皆さま。来る年に向けた営業組織の基本形はできていますか?
そして新たな風を楽しんで受け入れる柔軟な体制は整っていますか?
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