経営判断を邪魔する「損得感情」
「コンサルタントを雇うと、ずいぶん高くつくんですね~」── 先日ある集まりでお会いした二世経営者の方の言葉です。
何でも、知人から教えてもらった有名な先生で、ある新事業立ち上げに関して一通り見てくれる専門性を持っていて、これまでに100社以上の立ち上げに関わってきていて、ざっと料金的には200万円弱…とのこと。
いわく、「200万円といえば、車が買える値段ですよ。しかも、この先生は7、8ヶ月の間、一ヶ月に一回しかウチに来てくれないと言うし、いかにも法外な値段の気がするんですよ…」と。
もちろん、この二世経営者が言われているコンサルタントの仕事ぶりがどうか…というのが判断基準として極めて重要であることは間違いありません。しかし、一方で、「高い」と判断している根拠も極めてあやふや…ということもまず理解する必要があります。
例えば、「車が買える値段だから高い」ということであれば、給料200万円以下ということはまずないでしょうから、「社員は皆、高い」ということになります。
こういうと、「社員は動いてくれるし働いてくれるから、高くない」という反論が返ってきたりします。しかし、「黙っていても期待以上に勝手に育ってくれる人材」ということは、夢のまた夢ということは、経営者であれば誰でもスグに分かることだと思います。
人材は、場を与えて教育して、時間をかけながら育て行かなければ、下手をすると、「毎月1人あたり数百万円も出て行くコスト」になりかねないのです。こうなってしまっては、大変です。
だからこそ人材教育は重要なのですが、一方で、同じ人材でも、「与えられた場」や「働く仕組み」のレベルが高い場合、当然ながらより大きな成果を出しやすくなります。簡単に言えば、「人材のレベル」×「働く場のレベル」=成果 ということです。
コンサルティングは、この「働く場のレベル」、もっと言えば、「儲ける仕組みのレベル」の底上げをすることです。つまり、社員が100人いれば、一つの投資で100倍に効いてくる…訳で、驚くほどリターンの良い投資ということが分かります。
大切なことは、人は誰でも、物体などの目に見えるものにはお金を払いやすいのですが、目に見えないものにはどうしても「感情」が邪魔をしがちです。
また、目に見えるコストには、すぐに気がつけるのですが、見えないコストにも無頓着になりがちです。社員に場を与えず、たいした道具も与えずに号令だけかけていても、毎月見えないコストが膨大に消えていっているかもしれません。
「自社は一体、どういう儲けのレベルになっているのか…」という、すぐには見えにくい部分に関して投資ができているかどうか…。
数年後に大きな差がついてきてしまうのは、仕組みレベルへの投資の差であることを忘れないでください。
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