親子経営 繁盛と繁栄の秘策 息子がしてはならない7つのこと②
己の評判を過剰に意識する
とかく人は誰しも己の評判が気になるものです。後継者もご多分に漏れず自分の評判が気になります。社内の評判、取引先の評判そして世間の評判がとても気になります。自分がどのように人々から評価されているのかが大変気になります。
論語の一節、「己を知る莫(な)きを患えず、知らるべきを為すを求むるなり。」と、あります。私の解釈では「世間の人が自分のことを理解してくれないのを思い煩うより、世間の人たちにどうすれば認めてもらえるのかを追い求めることが先である。」とでも言いましょうか。
後継者が父親に代わり経営者になったとき、周りの人たちが自分をどのように見ているのかがとても気になります。特に社員の目が気になります。父親が経営者であったことに慣れ親しんできた社員たちが自分をどう見ているのだろうと意識します。
ここで気を付けねばならないのが「阿(おもね)る」ということです。社員にいいように思われたい、しっかりした経営者だと思われたいが故のパフォーマンスをしてしまうことです。
よくあるのが社長になったばかりなのに社内改革の一環として社員の待遇改善から始めたり、取引先との取引条件を見直したりしてしまいます。なかには金融機関にもいい顔をしたいがため預金や定期を増やしたりします。
いずれも後々後悔をすることになるのですが、少しでも自分の評価を上げいい評判を得たいと思うが故の結果です。ただ周りから「いい社長だ。」と言われたい一心でやるのですから賢明な経営判断とは言えません。
もうひとつ論語の一節、「人の己を知らざることを患えず、己の能なきを患う。」と、あります。私なりに解釈しますと、「周りの人たちが自分のことを理解してくれないと思い煩うのでなく、自分自身に実力が未だないことを認識しょう。」とでも言えましょうか。
経営者になったばかりで初めからすべてのことを満足に出来るはずがありません。謙虚にひとつずつ経験を積み重ねていくほかありません。焦らずじっくりと経営者としてのスタートを切るべきです。拙速に事を始めたり何かを変えようとかは厳に慎むべきところです。
最後にもうひとつ論語から一節、「人の己を知らざるをことを患えず、人を知らざることを患う。」と、あります。
私なりの解釈では「周りの人たちが自分のことを理解してくれていないと憂えるより、自分の方が周りの人たちのことをなんにも分かっていないと知るべきだ。」と、なります。
誰しも新しく経営者となれば自意識が過剰になります。周りのみんなが自分一人に注目していると思います。世間というのを必要以上に意識してしまいます。いずれ時が経てば分かることですが、世間の人々がみんな自分を見ていると思ってしまいます。
新しく経営者となった者が周りの人たちに一日も早く自分のことを分かってもらおうとするのではなく、自分の方が周りの人たちを少しでも早くひとりでも多く理解したいと思い行動することが大切なことだと思われます