将来の収益をにらんで目先の時間を確保する
多くの企業では会社の組織体制を決める際に収益性や効率性をベースに考えます。
かつて、バブルの時に多くの銀行が採用した業務本部制。お金を貸す営業部門と融資の可否を検討する審査部門を一体化することで、いち早く結論を出して他行よりも早くお金を貸すことが、より効率的で収益性も高いと考えられていました。
でも、収益性や効率性も短期的な要素と長期的な要素のバランスをよく考える必要があります。
銀行のケースで言えば、「貸すも親切、貸さぬも親切」という銀行の本来果たすべき役割を軽視して短期的に収益を上げることに力を注ぎました。その後バブルが崩壊して、銀行が大きなダメージを負うことになったのはあなたもよくご存知の通りです。
お客様の顕在化しているニーズにアプローチして利益を確保するのは比較的簡単です。一方で、長期的な収益を確保する仕事の場合、潜在化しているニーズを掘り起こすため、当面は華々しい成果が出ないことが少なくありません。
でも、それを将来への布石だと考えてじっくり取り込めるかどうか。このあたりのさじ加減は、経営者の考え方次第で組織のあり方も社員の行動パターンも大きく変わってきます。
人間忙しいと、ついつい目先の短期的な収益を上げることに時間と労力を使ってしまいます。このため、最低でも月に1回、できれば週に1日、長期的な収益を確保するために時間と労力を使うことが必要です。
中小企業の場合、将来の収益を確保するための専門部署を作るほど人的な余裕はないかもしれません。その場合は、意識的に時間を確保して、例えば「毎月10日の午後、3時間だけは将来に向けてのために時間を使う」と決めることをお薦めします。そして、当初決めた10日が都合が悪くなった場合は、「翌日の午後に振替える」という代替案のルールも最初から決めておく方がベターです。
長期的な収益を確保するためには小手先ではダメ。定期的に本質的なところに立ち返って「今のやり方で本当に良いのだろうか?」「どこかでちょっと妥協している点はないだろうか?」「もっとやるべきことがあるでは?」とじっくり考えてみましょう。
まずは経営者自ら率先して始めることがスタートです。
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