第482号 頑張らないけど在籍はしていたい人が増えてしまう会社の見落としとは?

「頑張らないけど在籍していたい人なんて、そもそも来ないですから」
ある社長がおっしゃいました。
まるで「運が良いからうまくいってます」というニュアンスですが、正確に表現しますと「『頑張らないけど在籍はしていたい』という人は、そもそもいなくなるし、来なくなるようにできているから」です。
社長がいくら努力を重ねていても、
「私は頑張らないけど、在籍だけはしていたい」
といった社員やスタッフばかりが残り、増えていくことがあります。
これは店舗型のビジネスにおいてもあることです。
なぜこうなってしまうのか?
その原因は会社によってそれぞれ違った理由があるでしょう。
ただ、共通する見落としが存在します。
それは「社長の主張が弱い」です。
主張とは
「私が会社のトップだ」
「私の考えはこうだ」
「賛同する人達はついてきてほしい」
などです。
そもそも組織や会社がなぜ存在するのか?
それは初代リーダーや、創業者が作ったから。
「こうあるべきだ」
「賛同してくれる人は手を貸してほしい」
最初は1人、2人だけだったところ、やがて人数も増えていき、法人化したらどうか。
では株式会社◯◯しようとか、■■グループと命名したという流れです。
よって、元から組織が存在していて、そこに後からリーダーが現れたわけではありません。
順番としては最初にリーダーが現れて、後から組織ができあがったということです。
つまりリーダーには必ず主張があり、「多くの人達に共感してついてきてもらいたい」という思いを示しているのが当たり前ということです。
これは初代のリーダーだったり、創業者であれば何も意識する必要はありません。
元からそんな考えでスタートしているからです。
気をつけなければならないのは「次のリーダーは君だ、任せたぞ」など、組織はすでに存在していて、後からリーダーを任命された方です。
任命された本人が「私なりの主張を掲げなければ」と行動を切り替えられればいいのですが、そうならず以下のようになってしまう場合があります。
・リーダーに主張が無く、発信しようとしない。
いつも何を考えているのか、よくわからない。
・リーダーの言動が「皆やってるんだから」「会社のルールなんだから」など後衛的
・今こそリーダーが出るべきでは?というタイミングに「君が行きなさい」
・自分の顔を出さない
・名前を公開しない
・統率をNo2に任せている
ここで「世の中にはいろんな人がいるんだから、そんなリーダーもいるでしょ」と言われるかも知れません。
もちろんそうですし、私としても主張を掲げるべきですと強制するつもりもありません。
しかし気をつけなければならないのは、
主張せず、皆について来てほしいという意思も発信していないリーダーはどう思われるのか?
ではないでしょうか。
・リーダーの主張が無いのにどうやって「その通りだ!」メンバー達は賛同できるのでしょう。
・私がリーダーだという自覚が薄く、主張も無い組織に
「私はこんな組織で力を発揮したかったんだ」
「私はずっとここで結果を出し続けていきたい」
そんな、熱い思いをもった社員やスタッフがいてくれるのでしょうか?
・組織の目指す方向性がわからない中、
「私はこうしてみました!」
と批判を恐れずにチャレンジできるメンバーは現れるでしょうか?
・「スキあらば楽をしたがる人」にとって居心地は?
・どんな人に組織に来て欲しいのか? リーダーが求める人材はどうやって我が組織、自社を見つけてくれて、来てくれるのでしょうか?
リーダーが主張を掲げる。
これは簡単そうですが、難しいことです。
ある組織ではリーダーが掲げた主張がうまくメンバーに伝わらず
「この組織ではやっていけない」
「え?、君がそうするなら私も」
といった悪い連鎖が起きてしまい、崩壊しかけました。
離反者が出てしまう。
これはとても怖いことです。
ここで「主張なんてするからだ」「おとなしく任された組織を回してさえいればそれでいいんだから」などの意見もあるかもしれません。
しかし私から一つ言えることがあります。
もし、自分の主張を掲げたのに、リーダーに対する批判が出たり、組織から去る人が続出したとしても
「あなたは立派なリーダーです」
なぜなら貴方は
「ここは君達の求める組織じゃなかったんだよ」
と、明確に示し、導くことができたからです。
本当は長居したくない組織なのに、なんだかんだ留まってもらい、ダラダラと時間を浪費させてしまうより良い事と言えるのではないでしょうか?

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