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言い訳ていないか

SPECIAL

プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりコンサルタント

株式会社プロジェクトメンターコンサルティング

代表取締役 

プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりの専門家。大企業において情報制御システム及び量産製品の設計・開発に携わり、SE及びPMとして約25年にわたりプロジェクト運営・管理を経験。
システムは列車の運行管理、河川管理、ダム制御、衛星画像データ処理、医療分野、セキュリティ分野等幅広く、官公庁案件から民間案件まで性格の違う数々のプロジェクトを成功に導く。関わったプロジェクトは300以上。

 茹でガエルの様に目の前にある危機に気が付かず、気がついたときには挽回に相当な労力を要する、または手遅れになってしまっているという事態は誰しも避けたいものです。

その様な状況に陥ってしまう思考の一つに”言い訳する”というものがあります。

 自分がなぜ問題にすぐに対応できなかったのか、なぜ問題に最大限注力できなかったのか、もっともな理由を並び立てて正当化しようとするものです。

 何事も、自分が思った通りに進まないことはあります。問題が発生し、対応したが結果的に自分の力では解決できなかった、ということはスーパーマンでない限り当然あるでしょう。しかし、やればできることがあったのに、見て見ぬふりをしていた、放置していた、対応を先送りしていた、問題を隠していた、対処しているふりをしていた、という様な振る舞いをした結果として解決できなかった場合、当人から出てくる反省の言葉は醜い”言い訳”にしか聞こえません。

 一方、その時の自分にできる最大限の対応をしたつもりだったが問題を解決できなかったとき、何がまずかったのか原因を追求しそれを次に活かせる状態にできれば、決して責められることではなく、そこで出てくる反省の言葉は”言い訳”にはなりません。ここで”言い訳”になるかどうかの違いは、当人が自分にできる最大限の対応をしたつもりだったか、ということです。あえて”つもり”を付け加えたのは、実はより効果的な対応方法があったのかも知れませんが当人がその時点ではそれが最善だと思ってしまったということであり、本来どうすれば良かったのかという建設的な反省に繋がるためです。

 例として、ある人が顧客と約束した商談に遅れる、ということがありました。公共の交通機関にトラブルがあり、足止めを食ってしまったことによるものです。それを顧客に理由として説明することは”言い訳”になるでしょうか、ならないでしょうか。

 それは、その人が約束に遅れないために自分にできる最大限の準備をしたかどうかによると考えます。つまり、ギリギリとは云わずとも余裕のない到着時間の移動手段を選択していたか、ある程度遅れることを想定して十分余裕を持った到着時間で計画していたかの違いです。自分としては十分余裕を持ったつもりだったが、それを上回る足止めを食ってしまったということであれば、それを遅れた理由にすることは決して”言い訳”にはならないと思うのです。相手のあることなので、相手からは”言い訳”に聞こえてしまうかも知れませんが、決して責めることのできない状況ではないでしょうか。

 その人は、次回の約束時にどうするでしょう。さらに余裕を持った移動時間を設定するかも知れません。あるいは前日に移動しておこうと思うかも知れません。または、今回見た余裕時間は全体最適化のうえで適切な時間であり、それでも遅れてしまった場合はそれを受容する、ということであれば次回も同じ時間に移動するかも知れません。いずれにしても、ただ運に任せて余裕なしに移動するよりは、”意思”を感じる仕事の仕方ではないでしょうか。

 ただし、たくさんの仕事を分刻みで抱えていて、移動時間に余裕など持たせられないという働き方をしている人もいるでしょう。一時的にはそういう仕事の仕方を決して否定はしませんが、そういう仕事の仕方は常にたくさんの”言い訳”を懐に備えていなければならない状態ではないでしょうか。何かトラブルがあったときに吸収できる余裕を持った計画が必要だと強調したいと思います。

 私たちは、意思を持って事前にリスクを十分想定した計画を立て、もしトラブルに見舞われても醜い言い訳をしなくて済むようにしたいものです。

 さて、ここまでの7回で、目の前にある危機に気付かない思考パターンとして、横並び、事なかれ、放置、先送り、隠蔽、やってる感、そして今回の言い訳を取り上げました。組織の円滑な運営、プロジェクトの成功に向け、これらの思考が体制の中に蔓延らない様に注意しましょう。

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