仕事が面白い会社

先日、ある経営者とお話をさせて頂く機会がありました。現場を任せられる人がいないと話す一方で、「結局、自分がやりたいからやっちゃう」と笑いながら、人が育っていないのは自分の責任だと言い切っていらっしゃっていました。ご自身のことを職人と称し、規模は追求しないと明言しておられました。
この社長は、ご自分の仕事の大変さ、取り扱う商品、顧客との関係をニコニコして楽しそうに語っていました。もちろん、言葉にはできないほどの辛いことや苦しいこともあるでしょうが、「仕事が好きだ!」という思いがとても伝わってきました。
経営者は、自分がやったことの反応や結果が分かる仕事です。それがやりがいにもなりますし、成長の機会にもなることが多いはずです。一方で、やりたいことをやりたいように勧められますが、それを追求し過ぎてついつい社員に細かく指示を出し過ぎてしまうことがあります。
皆さんも、飲食店などで店員に「あれして、これして」と指図する店主を見たことがありませんか。一見、人を上手く動かしているかのようですが、店員は浮かない表情でやらされ感しかないという光景は珍しくありません。言われたことだけをこなすだけでは、単調で退屈になってしまうのは仕方のないことです。
さて、「仕事のやりがい」は、事業環境の変化のスピードへの適応、深刻化する人材不足への対処につながる重要な要素になると考えています。既に多くの企業では、複雑化する事業環境、多様な価値観などの対応に、これまで通りのやり方が通用しない場面が増えています。
こうした時代においては、社員が主体的に考え、新たな価値を生み出す力が企業の競争力を左右します。そこで必要になるのは、社員が仕事に対して自主性を持てるような仕組みを作りです。好き勝手してよいというものではなく、事業成長につながる行動を促すことです。
日々の業務が、会社や部門にどのように貢献しているのかが見えなければ、社員は単なる作業の繰り返しだと感じてしまいます。それを解消するには、仕事の成果や結果が実感できる物が必要です。例えば、社員の担当した仕事に対する感想、意見などを他者や顧客から集めて見せるのもよいと思います。どのような意見がでるか分かりませんが、仕事の質を高める着眼や達成感を味わう経験を得ることができます。
また、人材不足が深刻化する中で、企業が持続的に成長するためには、社員が辞めずに長く働きたいと思える環境を整えることが不可欠です。これまで以上に、給与や待遇は他社との比較材料になると思います。それと同時に、仕事にやりがいを感じられるかどうかが、離職率を左右することとなります。
企業が優秀な人材を惹きつけるためには、「働きがい」や「成長機会」の提供が重要になります。単なる報酬の高さだけでなく、自身が成長できる環境や働きがいのある企業を選ぶ傾向が強まっています。社員一人ひとりが挑戦でき、成果を実感できる職場を作ることで、採用競争の中でも魅力的な企業となることができます。
企業にとって人材の流出は大きな損失です。新しい人材を採用し、育成するには時間もコストもかかります。そのため、既存の社員が「この会社で働き続けたい」と思えるような環境を整えることは、単に社内の雰囲気を良くするだけでなく、経営の安定にも直結します。人材不足の時代において、社員の定着率を向上させることは、企業の持続的な発展において必要不可欠なのです。
社員が仕事に魅力を感じられるかどうかは、企業側の環境づくりに大きく左右されます。つまり、経営者や管理職の工夫次第で、社員の働き方が変わる可能性があるのです。
あなたの会社は、面白い仕事できますか?
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