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社内から信頼される経営者「姿勢

SPECIAL

トラスタライズ=信頼を対価に変えるコンサルタント

トラスタライズ総研株式会社

代表取締役 

企業の「信頼を対価に変える」専門コンサルタント。独自の「トラスタライズ手法」を用いて、見えない信用や信頼を、目に見えるカタチに変え、対価へと変えることで多くの経営者から注目を集めている。企業経営において社会・顧客双方の価値の創出が求められる時代にあって、「信頼」を切り口に、顧客企業が売上・利益を向上させられる手法の研究・提言を行っている。


経営者の「姿勢」に対する社内からの信頼は、言行の一致・誠実な説明といった、重要ですが後回しにされがちな日々の行動の積み重ねによって培われていきます。


「社長の言っていることは立派だけど、本気でそう思っているのかわからない」
「言葉では従業員を大切にすると言いながら、実際の対応を見ると違和感がある」

企業経営において、従業員からこうした疑念を持たれることは決して珍しいことではありません。本当に従業員を大切に考えている社長からすると、このように思われることは、悲しく残念なことではあるでしょう。

とはいえ、経営者として従業員に言うことができない・言うべきではないことはたくさんありますし、あまりに従業員に迎合しすぎた環境は「ぬるま湯」となり、会社の成長を阻害します。

このバランスをうまくとる上で重要なことは、従業員が本気でついていきたいと考えるだけの信頼を経営者が築き上げていることです。どれだけ素晴らしい戦略を描き、実行計画を示したとしても、経営者の「姿勢」に対する信頼が欠けていれば、従業員は本気でついてくることはありません。逆に、経営者の姿勢に対する信頼が強い会社では、従業員が多少の困難があっても前向きに取り組み、組織全体が活性化する傾向があります。

では、「信頼される経営者の姿勢」とは、いったいどのようなものなのか?
また、それをどのように伝えれば、従業員の信頼を得ることができるのか?

本コラムでは、「経営者の姿勢が信頼を生むプロセス」と「日々の言動を通じた姿勢の伝え方」について解説します。


■経営者の「姿勢」が信頼を左右する理由

ここでいう「経営者の姿勢」とは、単なる言葉や表面的な態度ではなく、「どのような価値観で、どのように意思決定し、どのように行動するか」という、経営者の一貫したスタンスのことを指します。

わかりやすい例でいえば、「従業員を大切にする」と公言しながら、実際には社員の声を無視したり、不公平な評価を行ったりすれば、経営者の姿勢に対する信頼は失われてしまいます。

逆に、「うちの社長は必ず約束を守る」「社員を尊重し、最善の判断を下してくれる」という信頼があり、実際にそのように行動してくれる社長であれば、多少の困難があってもついていきたいと思う従業員は増えるでしょう。

経営者に対する信頼を高める「姿勢」は、大きく以下の3つに整理できます。


1. 言行が一致している

経営者の言葉と行動に一貫性があると、従業員は「この人の言うことには根拠がある」と感じ、会社の方向性に安心感を持ちます。逆に、場当たり的な発言が多かったり、方針がコロコロ変わったりすると、「この人の言葉は信用できない」と思われる原因になります。


✅ 言行一致が信頼を生むケース
 ・「顧客第一」を掲げている会社で、社長自らがクレーム対応に立ち会う
 ・「挑戦を奨励する」と公言し、失敗した社員に対しても必要以上に責めず、
  挑戦したことを評価する


✅ 言行不一致が信頼を損なうケース
 ・「社員を大切にする」と言いながら、理不尽な勤務制度を導入する
 ・「若手の意見を尊重する」と言いながら、会議で発言を遮る


2.困難な状況であっても、ぶれずに信念を貫く

普段は穏やかで誠実に見えても、いざ会社が危機的状況に陥ったときに経営者の本音が見えることもあります。

たとえば、業績が悪化したときに「全員で乗り越えよう」と努力するのか、それとも責任を転嫁し逃げの姿勢を見せるのか。この選択によって、経営者の姿勢に対する信頼は大きく変わります。


✅ 信頼を築く対応
 ・業績が悪化しても、経営層が率先して痛みを分かち合う姿勢を示す
 ・問題が起きた際に、責任を現場に押し付けず、トップ自らが説明する


✅ 信頼を損なう対応
 ・業績が悪化すると、突然社員に責任転嫁し、自己責任だと言い始める
 ・問題が起きても向き合わず、現場の管理職に全責任を押し付ける


■姿勢を「伝える」ために、経営者が日々できること

姿勢が大切なのは理解できても、それを従業員に正しく伝え、信頼を得るのは容易ではありません。経営者としての「姿勢」をどのように示せば、信頼につながるのでしょうか。

以下の3つのポイントを意識することで、日常的に姿勢を伝え、信頼を強化できます。いずれも目新しいものではありませんが、実際に信頼を得ている経営者は、多かれ少なかれこれらを愚直に実践しています。


1.「経営理念・方針」を繰り返し伝え、自ら体現する

経営理念やビジョンを掲げること自体は多くの企業が行っています。しかし、理念を単に掲げるだけでは意味がありません。最も重要なのは、経営者自身が日々の言動でそれを体現し続けることです。


✅ 信頼を生む行動
・経営計画の発表会などの場で、何度も企業の価値観を説明する
・従業員との対話の中で、日々経営理念と紐づけて発言する
・経営者自らが、掲げた方針に沿った意思決定を徹底する


 たとえば、「現場主義」を掲げるなら、経営者自らが定期的に現場を訪れ、従業員と対話することで、姿勢の一貫性が伝わるのです。


2.難しい判断こそ、理由を明確に伝える

経営判断のなかには、必ずしも従業員にとって歓迎されない決定もあります。たとえば、「給与の伸び率を抑える」「特定の事業を縮小する」などの決定は、一見すると社員にとってネガティブな要素です。

しかし、これらを何の説明もなく一方的に実行すると、「社長の考えがわからない」「本当に会社のことを考えているのか?」という不信感につながることが少なくありません。


✅ 信頼を生む対応
・「今年の給与水準は、長期的な会社の成長を見据えて調整した」と説明する
・「この事業の縮小は苦渋の決断だが、会社全体の成長のために必要」と理由を明確にする


 説明の有無だけでなく、「なぜこの判断が必要なのか」を誠実に伝えることで、経営者の姿勢に対する信頼は大きく変わります


3.「小さな約束」を守ることが、大きな信頼につながる

社内から「姿勢」に対する信頼を築くうえで、最も身近でありながら軽視されがちなのが、「日常的な約束を守ること」です。

たとえば、「社長が社員と約束したことを守らない」といった小さな出来事が積み重なると、「大きな場面でも同じように約束を破るのではないか?」という不信感が生まれます。


✅ 信頼を築く行動
・「来週までに確認する」と言ったことを確実に実行する
・「次のミーティングではフィードバックする」と約束したことを忘れずに行う


 こうした日常の積み重ねこそが、長期的な「姿勢の信頼」を支えるのです。もちろん、事情により約束した内容が実行できないこともあるでしょう。そのような場合も、それを伝達すること、そしてできれば理由も説明することで、印象としては大きく変わってきます。


■まとめ:姿勢の信頼は、日々の行動の積み重ね

上記の内容は、会社経営という枠を外して考えてみた際には、いずれも人として当たり前の内容といえるかもしれません。従って、経営という場面で考えても、当たり前に重視・実践されるべきものです。

経営者の「姿勢」は、単なる理念や発言だけでは伝わりません。日常の言動が一貫しているか、誠実さを保てているかが、従業員の信頼を左右します。

特に、人材の流動性も高まっている今の雇用環境においては、経営者が語らずとも理解を得られるというような「暗黙の了解」は通用しにくくなっている部分もあります。

信頼を築くには、言行一致を徹底し、難しい判断こそ理由を明確に伝え、日々の約束を守ることこの基本を愚直に実践することが、長期的に信頼される経営者への第一歩となります

忙しい、そこまで説明していられない、といった事情はもちろんあるかと思いますが、そこを踏まえた上で、当たり前のことを当たり前に実行できるかが、信頼を築けるかどうかの分岐点となるのです。

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