海外ビジネス【成功の方程式】 ~売れないのは既存製品が理由ではない!~

4月からの新年度を迎えるにあたり、海外展開に新たに挑戦する企業からの相談が増えています。「縮小する国内市場だけでは将来的にやっていけない」という漠然とした想いが、経営者を新たな挑戦に駆り立てているようです。その想いは非常に健全であり、当事務所も全力でご支援をしています。
これまで国内ビジネスを継続してこられた要因を分析し、各社の製品(商品やサービス)の魅力を整理。また、その製品の魅力を「どのように表現すれば、ターゲット市場の買手に伝わるのか?」を一緒に膝詰めで考えていきます。経営者と我々の間で「腑に落ちた表現を見出せた段階」で、ようやくターゲット市場とする現地市場へ訪問。そこで商談や市場視察を行なうのが典型的なご支援方法の1つです。
最近多く見られる1つの現象があります。それは現地市場での商談後、「あと半歩」で成約に結びつけそうなタイミングで、支援企業の日本人経営者が「及び腰」になってしまうのです。成約に結びつける「最後の交渉」は非常に手間ひまがかかり、精神的にも厳しいものですので、どうしても「留保したい」「先に結論を伸ばしたい」「完全に買手から断られたくない」という意思が経営者に働くのでしょう。
そのような経営者の多くは「既存製品のままでは、なかなか難しい。新製品が出てから再度トライしたい。」と決まって発言されます。しかしながら、そのような後ろ向きの考えは「最後の山場から逃げているだけに過ぎない」のです。確かに、製品は常に改良を重ねていくべきです。しかしながら、自社の製品を市場に販売していくためには、「良い製品」を持っているだけでは充分ではありません。「良い製品」を最終顧客に販売するための「良い販路」を構築することなしに、売上を挙げることはできないというのは当たり前のことです。商習慣や顧客嗜好などが日本市場とは異なる海外市場においては、日本以上に「良い販路」を構築することが重要です。
当事務所では【海外ビジネス成功の方程式】として、「成功=良い製品x良い販路」と常々クライアントにお伝えしています。100点満点(大口受注)とは言えないまでも、既存製品で一度「こじ開けた販路」は将来的にも活用できる有効なトンネル(チャネル)なのです。先ほど例に挙げた「成約直前で及び腰になり、『既存製品』を判断留保の口実とする経営者」は、新製品で再挑戦しても販路(トンネル)をこじ開けることはできません。それがこれまでの経験で言える「現実」です。すなわち、「良い販路=ゼロ(なし)」ですので、良い製品を持っていても成功する確率もゼロとなるのです。
日本の中小企業の経営者には未だに「良い製品があれば必ず売れる」という神話を信じている方が少なくありません。日本国内以上にビジネスが難しい海外市場で闘うには【成功=良い製品x良い販路】という方程式を徹底的に実現するしかありません。まずは、今ある製品(既存製品)で、一緒に海外販路をこじ開けてみませんか? 「将来的に良い製品があれば、それだけで上手くいく」という発想は夢物語なのです。
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