最適なコンサルティングを今すぐ活用する!

中途採用の即戦力化——成果を引き出「黄金律

SPECIAL

組織の成長加速コンサルタント

株式会社グロースサポート

代表取締役 

組織の成長加速を促し、業績躍進を実現させる辣腕コンサルタント。これまで130社以上の企業において、経営者のコンサルティング、経営幹部、経営リーダーの育成に携わる。組織とリーダーの成長段階を知り尽くし、経営者と同じ目線で語ることのできる希有なコンサルタントとして活躍中。

「Mさんに期待していたのですが……半年経っても新規案件が一つも決まりません。」

売上60億円規模のA社の社長は困惑していました。

Mさんは業界最大手の元部長。役員待遇で迎え、新規顧客の開拓を任せた。しかし、まったく成果が出なかったのです。

そこで私は、営業本部を統括するF常務に同行を依頼し、Mさんに明確な指示を出すよう提案しました。

ところが返ってきたのは、「市場開拓」「新規顧客創出」といった抽象的な目標ばかり。
「F常務、これではまるで中期計画です。Mさんが今日、何をすればいいのか分かりません。」

再考をお願いしましたが、二度目も具体性に欠ける内容でした。

もう一度確認すると、F常務はため息をつきながら言いました。

「正直、Mさんのような方に細かく指示を出すのは失礼だと思っていました。業界のトップ企業の出身者に、私が目標を設定するなんて……。」

気持ちは分かります。しかし、それは組織で成果を出す上での最悪手でした。

「Mさんにとって最も良くないのは、このまま成果が出ない状態が続くことです。もし次の半年も同じなら、Mさんの居場所がなくなってしまいます。」

F常務はしばらく考えた後、紙に具体的な目標を書き出しました。そして、数値を精査したうえで、Mさんに伝えることにしました。


1年後、F常務から届いた手紙。

「Mさんが新規事業部門のトップとして、大活躍されています。あの時、明確な目標を設定したことが、変化の起点でした。」

成功の鍵は、「明確な指針」を示すこと。
中途採用者が「期待外れ」になるか、「即戦力」となるか。その分かれ道は、能力ではなく、企業側の「準備」にあるのです。


中途採用者を即戦力にする「黄金律」

黄金律1:環境を整える

どんなに優秀な力士でも、土俵がぬかるんでいたら力を発揮できません。ビジネスの世界も同じです。

例えば、あるベンチャー企業が、大手メーカーのマーケティング責任者を迎えました。
しかし、前職では高度なデータ分析をもとに戦略を立てていたのに対し、新しい会社にはその基盤がなく、何から手をつけるべきか分からない状態でした。

最終的に、会社がデータ活用の環境を整え、業務フローを明確にしたことで、その責任者は本領を発揮できるようになりました。

企業側は、「即戦力だから大丈夫」と放置せず、 社内文化や商習慣を共有し、適切なサポートを提供する 必要があります。

解決策

  • 情報共有の仕組みを整える
  • 必要なツールやデータを提供する
  • 既存社員と新しく入社した社員の橋渡しをする

「即戦力だから何も言わなくてもできる」は幻想です。スムーズに適応できる環境を整えることが、企業の責任なのです。


黄金律2:「年数を経た新卒社員」と心得る

転職者は「転校生」と同じです。
新卒社員なら1年かけて学ぶことを、中途社員は短期間で吸収することを期待されています。

例えば、ある地方銀行が、大手都市銀行のエースを営業部門の責任者として迎えました。
しかし、地方銀行と都市銀行では文化も顧客層も異なり、前職のやり方は通用しませんでした。
そこで、ベテラン行員との同行営業を繰り返し、地域に根ざした営業手法を学ぶことで、次第に成果を出せるようになったのです。

■解決策

  • 業務の進め方を、新卒に教えるのと同じように説明する
  • 企業文化を丁寧に伝え、理解を確認する
  • 前職との違いを明確にする

「仕事は教えなくてもできるだろう」は間違いです。
「業界経験がある」と「新しい職場のやり方が分かる」は別問題。
スムーズに適応するための支援が、成果を左右します。


黄金律3:明確なゴールを示す

中途社員は経験とスキルを持っています。しかし、「何をすればいいのか」 が明確でなければ、スピードは出ません。

例えば、陸上選手が「自由に走ってください」と言われたら、どこを目指せばいいか分からず、スピードは上がりません。
しかし、「100m先のゴールを目指せ」と言われれば、一気に加速できます。

ビジネスも同じです。

解決策

  • 「達成すべき内容」と「期限」を明確にする
  • 成果基準を定める
  • 直属の上長と定期的な確認をする

目標が明確なら、迷わず行動できるのです。


【まとめ】中途採用者の即戦力化には黄金律がある

新卒社員も中途社員も、「新しい環境で成果を出す」という点では同じです。

■企業内のルールを理解し、
■必要な情報を得て、
■明確なゴールがある。

この3つが揃って初めて、能力が発揮されます。

「人は城、人は石垣、人は堀」——武田信玄

組織の強さは、人の活躍によって決まります。
新しいメンバーが一日も早く活躍できる環境を整えることが、企業の成長を支えるのです。

コラムの更新をお知らせします!

コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。