循環経済と脱炭素
循環経済は脱炭素に貢献する
その理由は、循環経済の原則に基づくと、製品の寿命を延ばし、資源の再利用を促進することで、製造過程でのエネルギー消費と二酸化炭素排出量を大幅に削減できるからです。再生可能資源の使用やリサイクルの強化は、廃棄物を減少させ、環境への負担を軽減し、持続可能な社会の実現に寄与します。
具体的な貢献度の例として、製鉄業界の取り組みが挙げられます。従来の高炉を使用した製鉄では、鉄1トンあたり約2.2トンのCO2が排出されますが、スクラップを原料として電炉を使用することで、鉄1トンあたり0.5~0.9トン程度のCO2排出に抑えることができます。これにより、製鉄業界全体でのCO2削減が可能となり、循環経済の原則に合致したエコフレンドリーな生産が実現します。
さらに、コンクリートの再利用も重要な課題です。建設廃材から再生コンクリートを製造することで、新たに生産されるコンクリートの量を減らし、製造過程でのエネルギー消費を抑えることができます。結果として、CO2排出量の削減に貢献します。また、食品廃棄物を堆肥化することで、化学肥料の使用を減らし、農業分野での環境負荷を軽減する取り組みも進んでいます。
これらの具体的な事例は、産業界を横断する形で同時多発的に進展を見せています。やがて、「脱炭素を語れないビジネスはビジネスではない」と見られるほどの大きな変化として定着してゆくことでしょう。
脱炭素はマネタイズできる時代がやってくる
その理由は、再生可能エネルギー技術やエネルギー効率化の進展により、炭素排出削減が経済的に利益を生むようになるからです。政府や自治体の支援策、カーボンクレジット市場の拡大、企業による脱炭素投資の増加が、脱炭素ビジネスの成長を後押ししています。これにより、新たな雇用機会やビジネスチャンスが生まれ、経済全体の活性化につながることが期待されています。
日本では2027年からCO2排出量取引市場が本格稼働する予定となっています。
現在、東京証券取引所が排出量取引市場の構築を進めており、そこには金融機関も強い関心を寄せています。
廃棄物の再資源化は今後魅力的なビジネスになってゆく
持続可能な資源管理が求められる現代社会において、廃棄物の再資源化は重要な役割を果たしています。リサイクル技術の進歩により、廃棄物から有価物を回収し、新たな製品の原材料として再利用することが可能になりました。これにより、資源の無駄を減らし、環境負荷を低減するだけでなく、経済的利益をもたらすビジネスモデルが確立されつつあります。特に、電子廃棄物やプラスチック廃棄物の処理は、今後ますます重要なビジネス分野となるでしょう。
御社の関わる資源循環はどのようなもので、そこにはどのようなチャンスが眠っているのか、CO2排出量の可視化を含め、一度棚卸をしてみてはいかがでしょうか。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。