真の競争相手は誰ですか?
「鉄道会社 対 タイムズ21」という競争環境は、おもしろい着眼点ですね。
先日、弊社主催のセミナーを実施した際、競合相手をクリアにすることで、自社が狙うべき市場を明確化することが出来る…というお話をしました。
アンケートを見ると、冒頭の鉄道会社vsタイムズ24の空想話が面白かった…と記載があり、以下の感想が添えられていました。
「自社の強みを見つめ直すよい機会なりました。商品企画・開発部と連携して10年後に到来するであろう危機を乗り越えたいと思います」と。
自社の強みを見つけるのは、意外にも難しいものです。
しかも5年後・10年後にわたって自社の強みが持続化させるのは至難の業です。
時代が成熟期に入ると、同業種間の競争から、異業種混同戦へと競争環境が複雑になってきます。
・飲食店VSレジャー施設。
・サプリメーカーVSスポーツクラブ
・人材派遣会社VSクラウドソーシング企業
などなど同じ業界のプレイヤー(生産者)との競争だけではなく、他業種との売上獲得競争をしているのが、現実です。
冒頭の鉄道対カーシェア(タイムズ24)は、藤冨の完全なる妄想です。
しかしそれでも充分にあり得る未来です。
このチラシをご覧ください。
カーシェア― 車の予約1分。 スマホに表示された地図には「近くにあるタイムズの駐車場とカーシェア空き情報」が見られる。 そんなチラシです。
裏面には、路線図がありタイムズ24のカーシェアがある駅が、明記されています。
つまり、貴方の住んでいる駅にも、会社の近所にも、友人の住まいがある駅にもありますよ。というメッセージ。
そう言えば…
私の自宅周辺にも、これでもか!というほどタイムズの駐車場が出来ています。
ところが、私の自宅近くでは、いつ見ても2〜3割程度の稼働率です。
どうみても供給過剰なのに、また新しく駐車場を作っています。
そんなバカな過剰投資を判断はしないでしょうから…何かの伏線を張っているのは間違いありません。
別な角度からも世の中を見てみましょう。
グーグルが自動運転自動車の世界で先頭を走っている…というニュースは皆さんもご存知だと思います。
さらにグーグルは「世界中の情報を整理する」という大義名分を掲げながら、巨大なインフラを整備して、広告のプラットフォームを創り上げてしまいました。
検索エンジンで、ユーザーがあるキーワードを打ったら、「何かを求めているのだから、その何かを提供している企業から広告費をもらう」という、とてもシンプルなビジネスモデルです。
さらにテキストデータだけでなく、地図情報まで整理しています。
カメラを搭載した車を世界各国走行させ、グーグルマップに落とし込み、商店から企業まで、地図情報とリンクさせてきました。
地図情報と広告、さらに自動運転自動車とくれば…
走行中に「近くの飲食店」や「行き先にある美容室」、「通り道の銭湯」など、ユーザーが求める情報をカーナビに自動表示してくれます。
もちろん、広告費をはらった店や企業が優先的に露出されることになります。
グーグルは車で儲けなくても、広告費で儲ければ良いのです。
自動車メーカーから見れば、イヤな存在です。
しかし、Googleは「電車(実際は、自動運転自動車)」は作っても「駅」は作っていません。
駅…?
ありました。
これが「駅」です。
グーグルとタイムズ24が「事業提携を開始!」なんて、新聞発表されたら、世の中に与えるインパクトは甚大です。
新しい技術をもったアウトサイダーが、競争のルールを勝手に変更してきて、既存事業者の「強み」を希薄化、無力化する。
そのときに、消費者の心理はどう動くだろうか?
この感覚を研ぎ澄ませる事が、「自社の強みを持続化させる」上で、とても大切な視点となります。
クルマ業界に限らず、あらゆる業界で競争の垣根は崩れています。
見て見ぬ振りをすれば、アウトサイダーに今の顧客を根こそぎ取られる可能性すらあります。
真の競争相手は誰なのか?
その視点が大切になってきます。
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