目の前にある危機に気がつくか
世の中を賑わす企業や組織の危機管理のまずさを目にするにつけ、これは規模の違いはあるにせよ誰にでも起こり得ることだという思いを強くします。これには、私たち、特に日本人が持っている性根によるところが大きいのではないかと思っています。
私が企業で組織を束ねる立場にあった頃、出荷したシステムや製品でしばしばトラブルを発生させていた時期があり、平穏な一日が突然顧客からクレームを受け一転して戦場に放り出されたような感じで急遽深夜までの対応を余儀なくされるということがありました。そういうことが重なると、毎朝会社に向かう時、今日”何か”が起きることに対して覚悟を持つ様になりました。もしかしたら今日は日付が変わる前に帰って来れない様な状況が発生するかも知れない、という緊張感が常について回るのです。
この様な覚悟を持って仕事に臨んでいると、小さな予兆に対して敏感になり、目の前に現れた危機に対して躊躇なく初動を始められルものです。一方、平穏無事な日々が続きぬるま湯に浸かってしまうと、目の前の危機にすぐに気が付かず、初動が遅れるだけでなく対応を誤って事態を悪化させてしまうことがあります。
この様なことになるのは、私自身も含めて我々の性根の中に、横並び、事なかれ、放置、先送り、隠蔽、やってる感、言い訳という様な悪質な7つの要素があるからというのが私が到達した結論です。
- 横並び・・・日常的に、他人と同じことをしている、平均を逸脱していない現状に満足してしまう。また、他人と同様であることの同調圧力を与え、また与えられる。
- 事なかれ・・・面倒なことが起きないで欲しいという願望から、事実を事実として受け止めるのを避ける。
- 放置・・・面倒なことが起きたのかも知れないが、まだそう確定したわけではないから知らないフリをして様子を見る。
- 先送り・・・面倒なことに対し、対応しなければならないことはわかっているが、すぐには着手せず後回しにする。
- 隠蔽・・・面倒なことに対する自分の対応のまずさを隠し、自分の責任が追及されるのを避けようとする。
- やってる感・・・自分に責任があるのを認識しているので、周囲から非難を浴びない様、最大限対応している様に見せ、アリバイ作りをする。
- 言い訳・・・自分がなぜすぐに対応できなかったのか、なぜ最大限対応できなかったのか、もっともな理由を並び立てて正当化する。
これらは、1番目から7番目に向けて悪質度が上がっていきますが、最後まで行ってしまったら末期的、致命的な事態と云えるでしょう。
私自身、この様な誘惑の声に負けないで、現れる危機に直ちに気がつく様、常に緊張感を持ちながら仕事をしたいと心掛けています。つまりは、危機に気が付いたら、放置せず、問題をオープンにし、直ちに対応し、自分が責任を持ってやり遂げ、結果に言い訳しない、というのが理想系です。
皆さんは、目の前にある危機に気がついていますか。気がつく様に準備していますか。
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